10代の若者の約8人に1人が、18歳になるまでに難聴の兆候を示し、約6%は感音性難聴(SNHL)を発症する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。SNHLは、内耳(有毛細胞や蝸牛)や聴神経の損傷や異常を原因とする難聴であり、多くの場合、不可逆的である。エラスムス大学医療センター(オランダ)の耳鼻咽喉科医であるStefanie Reijers氏らによるこの研究結果は、「Otolaryngology–Head and Neck Surgery」に10月14日掲載された。 Reijers氏は、「思春期に認められた聴覚の変化は、たとえそれが軽微であっても長期的な影響を及ぼす可能性があるため、これらの研究結果は、早期のモニタリングと予防の重要性を浮き彫りにしている」とニュースリリースで述べている。 大きな音は、音エネルギーを電気信号に変換して脳に伝える役割を果たしている内耳の有毛細胞に損傷を与える可能性があると研究グループは説明する。有毛細胞は、一度損傷すると再生できないことから、損傷は永久的な聴力喪失につながり得るという。 この研究では、オランダ、ロッテルダムの出生コホート研究(Generation R研究)に参加した子ども3,347人(平均年齢18歳5カ月、女子53.1%)を対象に、18歳時点でのSNHLおよび騒音性難聴(NIHL)の可能性がある聴力低下の有病率を調べ、13歳から18歳までの間に聴力低下の頻度や重症度がどのように変化するのかを検討した。試験参加者は、13歳時点(2016〜2019年)と18歳時点(2020〜2024年)に聴力検査を受けた。 その結果、18歳時点でのSNHLの有病率は6.2%、NIHLの可能性がある聴力低下が見られた割合は12.9%であることが明らかになった。13歳時点と18歳時点の両時点で聴力検査を受けた2,847人を対象とした解析では、5年間でこれらの有病率に有意な変化は認められなかった。ただし、オージオグラム(聴力検査の結果を示すグラフ)で特定の周波数のみ閾値が低下してV字型になるパターン(ノッチ)の有病率は13歳時点の7.9%から18歳時点の8.4%へとわずかに増加していた。また、13歳時点で高周波数帯域の難聴(HFHL)が認められた参加者では、18歳時点で高周波数の聴力閾値が有意に悪化していた。 研究グループは、10代の若者は85dBを超える音に頻繁にさらされていると指摘する。これを超える大きさの音に曝露すると、一時的または永久的な難聴を引き起こす可能性がある。例えば、イヤホンや音楽スピーカーなどは100dBで再生されることが多く、最大115dBを生成できる。音楽ライブの音量は90~122dBに達することがある。また、花火、バイク、サイレンの音の大きさは、95~150dBに達する。Reijers氏らは、「国を問わず、青少年は娯楽による大音量にさらされている集団である。そのようなリスクの高い視聴活動を長期間続けることで、騒音性難聴のリスクは高まる」と記している。 Reijers氏らによると、10代の頃の軽度の難聴でも、他者とのコミュニケーションや交流の能力を損ない、学業成績を低下させ、将来的に加齢に伴う難聴になる可能性を早め得ると警鐘を鳴らす。その上で、「難聴リスクがある10代の若者を特定し、定期的に聴力を検査することで、悪化する前の段階で問題を発見できる可能性がある」との見方を示している。 研究グループはまた、特定の娯楽的な騒音源が聴覚に与える累積的な影響について、さらに10代の若者の中でも聴覚障害を発症しやすい人としにくい人がいる理由についても、さらなる研究で検討する必要があると話している。(HealthDay News 2025年12月4日) https://www.healthday.com/health-news/hearing-loss/1-in-8-teens-show-signs-of-hearing-loss-study-says Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: fizkes/Adobe Stock