子宮頸がんの定期検診の新たな選択肢に自己採取によるヒトパピローマウイルス(HPV)検査が加わることが、「CA: A Cancer Journal For Clinicians」に12月4日に発表された米国がん協会(ACS)の改訂ガイドラインで示された。専門家らは、膣鏡診なしで女性が自分で検体を採取できる検査を選べるようになることで、一般女性の検診に伴うストレスの軽減につながる可能性があるとの見方を示している。 米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター行動科学准教授のJane Montealegre氏は、「HPVのスクリーニングは、子宮頸がんのスクリーニングを意味している。これは女性の選択肢を広げることにつながる」と米NBCニュースに対して語った。 子宮頸がんのほとんどは、HPVが原因とされている。HPVは子宮頸がんを強く予測する要因であるため、現在は従来のパップテスト(細胞診)よりもHPV検査の方がスクリーニング方法として優先されている。 米国では2024年以降、米食品医薬品局(FDA)により3種類の自己採取HPV検査が承認されている。このうち2つは医療機関で膣スワブを用いて行うもの、残る1つは自宅で採取した検体を検査機関に郵送する検査である。米国では、検診とHPVワクチンの普及により子宮頸がんの発症率は数十年にわたって低下している。それでも、2022年に「JAMA Network Open」に掲載された研究によると、20%以上の女性が最新の検診を受けていない。 ACSがん早期発見部門の疫学者でシニア・バイス・プレジデントであり、今回発表された改訂ガイドラインの上席著者でもあるRobert Smith氏は、NBCニュースに対し、「自己採取による検査では、女性は、渡されたキットを使って診察室やトイレなど好きな場所で自分の検体を採取できる」と説明している。 医療従事者の採取による検査の場合には、HPV検査を5年ごとに受け、陽性の場合は追加検査を受けることが、ACSと米予防医学専門委員会(USPSTF)により推奨されている。一方ACSは、平均的なリスクの女性であれば、FDAによる承認を得た方法による自己採取HPV検査を受け、結果が陰性であれば3年ごとに検査を受けることを支持している。また、HPV検査を従来のパップテストと組み合わせて3年ごと、または5年ごとに行う方法も提示されている。 ACSとUSPSTFの推奨内容の違いは、HPV検査の開始年齢である。ACSでは25歳から開始することを推奨しているが、USPSTFでは30歳からの開始とし、21~29歳ではパップテストのみによる検診を3年ごとに受けることを推奨している。保険適用は、医療保険制度改革法(ACA)のもとで継続される見込みで、専門家らは医療機関で行われる自己採取検体も対象に含めるべきだとの見方を示している。 今回改訂されたACSのガイドラインでは、検診をいつまで受けるべきかについても明確な時期が示されている。それによると、65歳以上の平均的なリスクの女性は、60歳と65歳に受けたHPV検査がともに陰性であるか、または同じ年齢で実施したHPV検査とパップテストの併用検査がともに陰性であれば、子宮頸がん検診を中止してもよいとされている。 Smith氏は、「65歳まで定期的に検診を受けることの重要性について明確な推奨があるにもかかわらず、実際に受けている女性は極めて少ない。子宮頸がん検診をやめても安全であることを示す65歳までの記録が必要であることを女性たちに認識してもらうことが重要だ」と話している。 一方、今後、さらに検査間隔が延長される可能性があるとの見方を示す研究者もいる。米ミシガン大学産婦人科学・家庭医学教授のDiane Harper氏は、NBCニュースの取材に対し、「ワクチン接種率が高い集団では10年ごとの検査でも十分であるというデータがあるが、米国はその点で後れをとっている」と話している。(HealthDay News 2025年12月5日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/self-swab-hpv-tests-now-supported-for-cervical-cancer-screening Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock