がん免疫療法の効果は、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を投与する時刻によって異なる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。進展型小細胞肺がん(extensive-stage small-cell lung cancer;ES-SCLC)患者を対象にしたこの研究では、15時より前にICIの点滴を受けた患者では、15時以降に点滴を受けた患者に比べて無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が有意に長かったことが示されたという。中南大学(中国)湘雅医学院付属腫瘍病院のYongchang Zhang氏らによるこの研究結果は、「Cancer」に12月8日掲載された。 Zhang氏は、「点滴を行う時刻の調整は、生存期間を延ばすための安価な方法となる可能性がある。追加費用も不要で、さまざまな医療現場で容易に実施できる簡単な介入だ」と述べている。 この研究では、2019年5月から2023年10月までの間にES-SCLCと診断され、化学療法に抗PD-L1抗体(アテゾリズマブまたはデュルバルマブ)を併用する一次治療を受けた397人を対象に、ICIの投与時刻が効果に影響するのかどうかが検討された。ICIの投与時刻は、各患者の最初の4サイクルのICI投与時刻の中央値とした。 解析の結果、ICIの効果を最大限に高める最適な投与時刻のカットオフは15時であることが示された。15時より前にICI投与を受けた患者では、15時以降に投与を受けた患者と比べて、PFSとOSが有意に長かった。多変量解析では、15時より前の早い投与時刻はPFSとOSのいずれにおいても独立した予後因子であることが確認され、病勢が進行するリスクは約52%(調整ハザード比0.483)、死亡リスクは約63%(同0.373)低下すると推定された。 Zhang氏は、「この研究結果は即時的な臨床的意義があり、現在のES-SCLC治療のプロトコルに変革をもたらす可能性を秘めている」と述べている。 研究グループは、ICIの投与時刻による効果の差は、体内時計(概日リズム)が免疫反応を含むさまざまな生体機能に影響するためだと考えている。それでも、概日リズムががん治療に及ぼす影響を理解し、患者の概日リズムを治療に最大限に活かす方法を確立するには、さらなる研究が必要だと指摘している。 研究グループは、「今回の知見は、生体リズムとICIによる治療の重要な相互作用を示しており、治療戦略の最適化に向けた新しい可能性を開くものだ」と結論付けている。(HealthDay News 2025年12月9日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/timing-is-everything-in-cancer-immunotherapy-experts-say Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock