女性の個々人の乳がんリスクに応じて検診内容を変える方法は、年1回のマンモグラフィ検診と比べて、進行した乳がんを増やすことなく、より効率的に検診を行える可能性のあることが、新たな研究で示唆された。ただし、このようなリスクに基づく検診を行っても、生検率が減ることはなかったという。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)乳腺ケアセンターのLaura Esserman氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に12月12日掲載された。Esserman氏は、「この結果は、乳がん検診の臨床ガイドラインを一変させ、臨床実践にも影響を与えるはずだ」と話している。 この研究では、乳がんや非浸潤性乳管がん(DCIS)の既往がない、または予防的両側乳房切除術を受けていない40〜74歳の女性を対象に、患者ごとのリスクに基づく乳がん検診が、年1回のマンモグラフィ検診の実行可能な代替手段となり得るかが検討された。2016年9月から2023年2月までの間に米国の50州で登録された女性(平均年齢54歳)は、リスクに基づく乳がん検診を受ける群(1万4,212人)と年に1回マンモグラフィ検診を受ける群(1万4,160人)にランダムに割り付けられ、2025年9月5日まで追跡された(追跡期間中央値5.1年)。 乳がんリスクは、9種類の乳がん感受性遺伝子の解析、多遺伝子リスクスコア、Breast Cancer Surveillance Consortium(BCSC)開発のリスク評価モデルを用いて評価した。対象者はこの評価に基づき、より高リスク(5年乳がんリスクが6%以上、または高浸透率乳がん感受性遺伝子の病的変異を持つ)、高リスク(年齢別リスクで上位2.5%以内)、平均リスク、低リスク(50歳未満、かつ5年リスクが1.3%未満)の4群に分類された。より高リスク群には、6カ月ごとにマンモグラフィとMRIが交互で行われ、また、リスクに応じたカウンセリングも行われた。高リスク群は、40歳から年1回のマンモグラフィ検診、平均リスク群には50歳から2年ごとのマンモグラフィ検診が推奨された。低リスク群には現時点では検診は不要とされた。 その結果、ステージIIB以上の乳がん発症率は、リスクに基づく検診群で10万人年当たり30.0人、マンモグラフィ群では48.0人であり、リスクに基づく検診でも進行がんは増えないことが示された。一方、マンモグラフィ検診の実施率はリスクベース群で有意に低下した。生検率に有意な差は認められなかったものの、リスクベース群の方がわずかに多かった(差98.7件/10万人年)。 研究グループによると、リスクに基づく検診は、女性自身が知らない潜在的な危険を明らかにすることもできるという。例えば、遺伝子検査で乳がんリスクが高いと判定された女性の30%は、乳がんの家族歴はないと報告していた。現在のガイドラインでは、これらの女性は通常、遺伝子検査の対象とされない。 共著者の1人であるUCSFアテナ乳腺ヘルスネットワーク所長のAllison Fiscalini氏は、「これは、家族歴に関わらず、全ての女性に遺伝子検査を提供した初期の研究の一つだ。包括的なリスク評価の一環として遺伝子検査を実施すれば、その結果は、検診や予防の安全性と有効性の改善に影響を与える可能性がある」とニュースリリースで述べている。 一方、米国放射線学会(ACR)はこの結果について、乳がん検診ガイドラインを変更する十分なエビデンスにはならないとコメントしている。ACRは、多くの女性が推奨された検診パターンを守らなかったこと、また、研究で発見されたがんの数が統計学的に十分な数ではなかったことを指摘している。(HealthDay News 2025年12月16日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/risk-based-breast-cancer-screening-outperforms-annual-mammograms-clinical-trial-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock