心疾患のリスクが高い人は、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことで健康にプラスの効果を得られる可能性のあることが、新たなシステマティックレビューで示された。心疾患リスクの高い人が食事中の飽和脂肪酸の量を減らした場合、心筋梗塞や脳卒中の発症数が減少することが明らかになったという。一方、心疾患のリスクが低い人では、5年間の追跡期間で同様の効果は明確には確認されなかった。詳細は、「Annals of Internal Medicine」に12月16日掲載された。 このシステマティックレビューでは、合計6万6,337人が参加した17件の臨床試験のデータを分析し、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことが心臓の健康やコレステロール値、全死因死亡にどのような影響を与えるのかを調べた。なお、飽和脂肪酸はバターやステーキ、ピザ、アイスクリーム、多くの加工食品や加工肉などに含まれている。米連邦政府の食事ガイドラインでは、飽和脂肪酸は1日の総摂取カロリーの10%未満に抑えることが推奨されている。一方、米国心臓協会(AHA)ではより厳しい基準となる6%未満に抑えることを推奨している。 その結果、ベースラインの心血管リスクが低い人では、飽和脂肪酸の摂取量を減らしても全死因死亡、心血管疾患による死亡、非致死的な心筋梗塞、致死的または非致死的な脳卒中の絶対リスクの減少は、臨床的に重要な閾値(5年で1,000人当たり、致死的なアウトカムが5件、非致死的なアウトカムが10件)を下回っており、ベネフィットはほとんどないことが示された。一方、リスクが高い人では、閾値を上回る絶対リスクの減少が見込まれ、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことで臨床的に意味のあるベネフィットの得られることが示唆された。 また、飽和脂肪酸を脂の多い魚やキャノーラ油に含まれるような多価不飽和脂肪酸に置き換えた人では、「悪玉」とされるLDLコレステロール値が低下し、心疾患のリスクも低下することが示された。 専門家らは、多くの人にとって高コレステロールを防ぐための最善の食事に関するアドバイスは、飽和脂肪を控えることだとしている。本研究には関与していない専門家の1人で、米タフツ大学心血管栄養研究所所長のAlice Lichtenstein氏は、「病気のない人を相手に、まだ発症していない疾患を評価することはできない。しかし、重要なのは予防することだ」と述べている。 飽和脂肪酸の摂取制限を推し進める動きは1960年代に始まり、何十年にもわたって食の選択に影響を与えてきた。ただし、研究者らは、飽和脂肪酸が含まれている全ての食品が同じように健康に影響を及ぼすわけではないと指摘している。例えば、ホットドッグなどの加工肉にはナトリウムも多く含まれており、血圧を上昇させる。一方、牛乳やヨーグルトなど一部の乳製品は、血糖コントロールや体重管理の改善に関連することが示されている。 Lichtenstein氏は、1つの研究結果だけを根拠に栄養に関わる政策を変更すべきではないと注意を促している。同氏は、「より広範なエビデンスがない中で、1件のシステマティックレビューのみが政策に大きな影響を与えるようなことがあってはならない」と話している。(HealthDay News 2025年12月18日) https://www.healthday.com/health-news/nutrition/cutting-saturated-fat-helps-those-at-risk-for-heart-disease-review-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock