足の付け根の周辺(大腿骨近位部)の骨折をできる限り防ぎたいという女性が自分で用意できる「処方箋」があるとすれば、それは「コーヒーではなく、紅茶を飲むこと」かもしれない。高齢女性を対象とした10年間にわたる研究で、紅茶を飲む人はコーヒーを飲む人に比べて、わずかながら骨密度(BMD)が高く、骨が強いことが示されたのだ。フリンダース大学(オーストラリア)医学・公衆衛生学部のEnwu Liu氏とRyan Liu氏らによるこの研究の詳細は、「Nutrients」に2025年11月23日掲載された。 この研究では、65歳以上の女性9,704人が10年間追跡され、コーヒーまたは紅茶の摂取とBMDの縦断的な関連が検討された。BMDは、骨がもろくなる病気である骨粗鬆症のリスクを評価するための重要な指標である。コーヒーおよび紅茶の摂取量は、2、4、5、6回目の訪問時に自記式質問票によって繰り返し評価された。また、大腿骨頸部および股関節全体のBMDは、二重エネルギーX線吸収測定法によって繰り返し測定された。 その結果、紅茶を飲む女性では、飲まない女性と比べて股関節全体のBMDがわずかに高いことが明らかになった。一方、紅茶の摂取と大腿骨頸部のBMDとの間に有意な関連は認められなかった。また、コーヒーの摂取と大腿骨頸部および股関節全体のBMDとの間にも有意な関連は認められなかったが、1日5杯を超えるコーヒーの摂取はBMDの低下と関連する可能性が示唆された。さらに、生涯のアルコール摂取量が多い女性はコーヒーの悪影響を受けやすい可能性があることや、紅茶の有益な効果は肥満の女性でより強く現れる可能性があることも示された。 研究グループは、紅茶の摂取と非摂取との間で見られたBMDの差はわずかであったことを認めつつも、統計学的には有意であったと説明。そのため、わずかな差でも、より大きな人口集団の健康を考慮すると重要な意味を持つ可能性があるとの見解を示している。 Enwu Liu氏は、「適量のコーヒーは安全であると考えられるが、摂取量が多過ぎるのは理想的とはいえないかもしれない。特に飲酒の習慣がある女性では注意が必要だ」とニュースリリースの中で述べている。 骨粗鬆症は年間数百万件の骨折を引き起こす原因となる疾患で、50歳以上の女性の3人に1人が罹患していると推定されている。Enwu Liu氏らは、何十億人もの人がコーヒーや紅茶を飲むことを毎日の習慣にしているため、これらの飲み物が骨に与える影響を理解することは重要であると指摘している。なお、同氏らによると、先行研究では相反する結果が示されているという。また、これほど多くの女性を10年という長期間にわたって追跡した研究は、これまでほぼなかったことも同氏らは付け加えている。 Ryan Liu氏は、お茶には骨量の減少の抑制や骨形成の促進に役立つ可能性のあるカテキンと呼ばれる化合物が豊富に含まれていると説明。「一方、コーヒーに含まれるカフェインは、実験室での研究でカルシウムの吸収や骨代謝を妨げることが示されている」とニュースリリースの中で述べている。ただし、その影響はわずかであり、ミルクを加えることで相殺される可能性があるとも付け加えている。 Enwu Liu氏は、今回の研究の結果について、「女性はコーヒーをやめたり、お茶を大量に飲み始めたりする必要があることを意味しているわけではない」と強調している。その上で同氏は、「カルシウムとビタミンDが骨の健康に不可欠なものであることに変わりはないが、普段飲んでいるカップの中身も影響する可能性がある。高齢女性にとって、いつもの1杯のお茶は単なる心安らぐ習慣にとどまらず、骨を強くするための小さな1歩になるかもしれない」と述べている。(HealthDay News 2025年12月24日) https://www.healthday.com/health-news/bone-and-joint/tea-may-have-bone-health-benefits-for-older-women Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock