新年の抱負の一つとして海外旅行を計画している人は、注意が必要だ。旅行者下痢症の治療に一般的に使われてきた抗菌薬が以前ほど効かなくなっていることが、新たな研究で示された。ただし、薬剤耐性の状況は地域によって異なり、原因菌の種類にも左右されるという。CIWEC Hospital and Travel Medicine Center(ネパール)の感染症専門医であるBhawana Amatya氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に12月22日掲載された。 この研究では、旅行者下痢症の主な原因となる4種類の細菌(カンピロバクター、非チフス性サルモネラ、赤痢菌、下痢原性大腸菌)に対する抗菌薬の有効性が検討された。2015年4月14日から2022年12月19日までの間に、世界58カ所の熱帯医療センターで治療された859人の旅行者下痢症患者(年齢中央値30歳、男性51%)が解析対象とされた。有効性は抗菌薬に対する感受性を指標とし、中等度感受性と耐性の両方をまとめて「非感受性」と定義した。 その結果、カンピロバクターでは、フルオロキノロン系抗菌薬に対して75%、マクロライド系抗菌薬に対して12%が非感受性を示した。同様に、非チフス性サルモネラではそれぞれ32%および16%、赤痢菌では22%および35%が非感受性を示した。下痢原性大腸菌では、フルオロキノロン系抗菌薬に対して18%が非感受性を示した。フルオロキノロン系抗菌薬の例は、シプロフロキサシン、デラフロキサシン、レボフロキサシンなど、マクロライド系抗菌薬の例は、アジスロマイシンやエリスロマイシンなどである。 また、感染した地域により抗菌薬感受性パターンが異なることも明らかになった。例えば、南・中央アジアで感染した患者から分離された赤痢菌の79%はフルオロキノロン系抗菌薬に非感受性を示したのに対し、南米で感染した患者から分離された赤痢菌の78%はマクロライド系抗菌薬に非感受性を示した。 この研究をレビューした米ノースウェル・ヘルスのDavid Purow氏は、薬剤耐性増加の主な原因は抗菌薬の過剰使用である可能性が高いとの考えを示す。同氏は、「例えば、人が同じものに繰り返しさらされると次第に反応しなくなるのと同じように、細菌も同じ抗菌薬に繰り返し曝露されることで、時間とともに耐性を獲得する」と述べている。 現在、多くの旅行者が抗菌薬を携帯し、下痢の兆候が出るとすぐにこれを服用するが、研究グループとPurow氏はともに、「下痢症状が出た場合には、医師の診察を受けるべきだ」と話す。Purow氏は、「実際には、自分が感染した細菌が所持している抗菌薬に感受性を持つかどうかは分からない」と指摘している。また、市販の下痢止め薬を使うことで、抗菌薬を使わずに済む場合もあるという。 Purow氏は、「抗菌薬の使用を控えることは、薬剤耐性のさらなる拡大を防ぐことにもつながる。何を治療しているのか分からないまま抗菌薬を使用することが、世界全体に影響を及ぼす可能性があることを理解することが重要だ。また、症状がより重く、深刻になるまで抗菌薬の使用を待つという選択も有効かもしれない」と話している。(HealthDay News 2025年12月30日) https://www.healthday.com/health-news/digestive-system/visiting-abroad-in-the-coming-year-antibiotics-becoming-less-effective-against-travelers-diarrhea-study-warns Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock