次に、罵り言葉があふれ出しそうなのを必死でこらえる状況に陥ったときには、むしろ思い切って吐き出してしまうと良いかもしれない。英キール大学のRichard Stephens氏らによる新たな研究で、悪態をつくことで抑制が弱まり、筋力や持久力テストで、より限界まで自分を追い込めるようになることが示された。「悪態をつくことは、集中力や自信を高め、気を散らしにくくし、もう一歩踏み出す助けになる手軽な方法だ」と述べている。この研究結果は、「American Psychologist」に12月18日掲載された。 Stephens氏らはすでに過去の研究で、悪態をつくことで、腕立て伏せの姿勢で自重を支えられる時間や氷水に手を浸していられる時間など、さまざまな身体的課題でパフォーマンスが高まることを報告している。Stephens氏は、「これは再現性が高く、信頼できる結果だ。しかし、悪態をつくことがどのようにわれわれを助けているのか、その心理的メカニズムは何か、という点については謎だった」と語る。 この研究では、182人を対象に2つの実験を実施し、悪態をつくことで一時的に行動を抑えるブレーキが弱まった心理状態(脱抑制状態)が人を解放し、困難な状況でより強く自分を追い込めるようにするのではないかとの仮説を検証した。 1つ目の実験では、18〜65歳の参加者88人が、椅子を使ったプッシュアップを行いながら、2秒ごとに自分で選んだ罵り言葉、もしくは中立的な言葉を繰り返すよう求められた。課題の終了後には、脱抑制状態に関連すると思われるユーモア、フロー状態、自信、社会的望ましさ、注意の逸れについての評価を受けた。また、94人を対象にした2つ目の実験では、1つ目の実験結果の再現に加えて、悪態をつくことによるパフォーマンスの向上が、脱抑制状態によって説明できるのかどうかをBIS(行動抑制システム)/BAS(行動活性化システム)、不安、正・負の感情、新奇性、傍観者的無関心などの心理指標も測定して検証した。 その結果、いずれの実験でも、罵り言葉を発した場合では、中立的な言葉を発した場合と比べて、有意に長く自重を支え続けることができることが明らかになった。ただし、その媒介要因は実験間で一致せず、実験1では制約からの自由感やフロー状態の高まりが効果を部分的に媒介した一方、実験2では注意の逸れのみが関与する可能性が示唆された。 Stephens氏は、「これらの結果は、なぜ悪態をつくことがこれほど一般的なのかを説明するものだ。悪態をつくことは、カロリーや薬物が必要ではなく、低コストで、必要なときにすぐに使えるパフォーマンス向上ツールだ」と述べている。 研究グループは、次の課題は、ためらいを乗り越えることが成功の鍵となる場面でも、悪態の効果が発揮されるかどうかを検証することだと述べている。論文の上席著者である米アラバマ大学ハンツビル校のNicholas Washmuth氏は、「われわれの研究室では現在、人前でのスピーチや恋愛におけるアプローチといった、ためらいや自己疑念が生じやすい状況で、悪態がどのような影響を及ぼすのかを研究している」と語っている。(HealthDay News 2025年12月27日) https://www.healthday.com/health-news/general-health/swearing-is-a-superpower-new-research-suggests Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock