動脈の詰まりに対する最適な治療法は、男女で異なる可能性があるようだ。冠動脈疾患(CAD)患者に対しては、細い金網状のチューブを狭窄した動脈内に入れて広げるステント留置術(経皮的冠動脈インターベンション〔PCI〕)が行われることが多い。しかし、重度の慢性CADの女性患者に対しては、冠動脈バイパス術(CABG)を施行する方が、長期的に見て良好なアウトカムにつながり得ることが、新たな研究で示唆された。米ニューヨーク・プレスビテリアン病院および米コロンビア大学アービング医療センターのKevin An氏らによるこの研究結果は、「European Heart Journal」に11月25日掲載された。 研究グループによると、大規模な臨床試験では、女性の参加者は全体の20〜25%に過ぎず、女性の心疾患の治療に関して「盲点」が生じているという。論文の上席著者である米ワイル・コーネル医科大学のMario Gaudino氏は、「冠動脈の血行再建が必要な場合、男性患者であれば、強固なエビデンスに基づいた治療を受けることができる。しかし、女性患者の場合はそうはいかない。なぜなら女性患者に関するデータが不足しており、男性から得られたデータを流用しているからだ。しかし、女性が『小さな男性』でないことは明らかだ」と話す。 今回の研究では、傾向スコアマッチングにより背景因子を調整した上で、重度の慢性CADを有する女性患者のうち、PCIを受けた群とCABGを受けた群のそれぞれ2,033人ずつ(平均年齢66.5歳)を対象に、長期アウトカムを比較した。対象アウトカムは、全死因死亡、心筋梗塞(MI)、脳卒中、または冠動脈血行再建術の再施行の複合である「主要心脳血管イベント(MACCE)」、MACCEの各構成要素、および心血管疾患(MI、心不全、または脳卒中)による再入院とされた。 中央値5.1年に及ぶ追跡期間中にMACCEを経験した割合は、PCI群で35.8%、CABG群で21.5%であり、リスクはPCI群で有意に高かった(ハザード比1.81、95%信頼区間1.63〜2.01)。また、PCI群ではCABG群と比べて、追跡期間全体を通して全死因死亡リスクが34%、心血管疾患による再入院リスクが40%高かった。 An氏は、「現在、女性がCABGを受ける割合は、男性の約半分にとどまっている。長期的に見ると、女性においてはPCIよりもCABGの方が、より保護的であるように思われる」とニュースリリースの中で述べている。 ただしAn氏らは、治療ガイドラインを変更するには、さらなる研究が必要だとしている。現在、研究グループは重度のCADを有する女性を対象に、PCIとCABGの両治療法を直接比較する新たな臨床試験を進めている。 An氏は、「現時点では、治療方針は個別に判断すべきだ。本研究では、CABGがPCIよりも長期的な保護効果をもたらす可能性が示唆されたが、解剖学的条件、手術リスク、患者本人の希望といった要因が依然として重要だ」と話している。(HealthDay News 2026年1月2日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/one-treatment-is-better-for-women-with-clogged-arteries-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock