指先から採取した血液を郵送して行う血液検査によって、アルツハイマー病に関連するマーカーを正確に検出できることが、新たな研究で示された。これによって脳の変性疾患であるアルツハイマー病の診断や研究がより容易になる可能性があるという。米バナー・ヘルス、フルイド・バイオマーカー・プログラムのシニアディレクターであるNicholas Ashton氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に1月5日掲載された。 この検査は、指先に針を刺して少量の血液を採取するフィンガー・プリック・テストと呼ばれるもので、リン酸化タウタンパク質(p-tau217)やグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)の血中濃度を正確に測定できるという。これらはいずれもアルツハイマー病に関連する脳損傷の指標である。p-tau217は、アルツハイマー病に特徴的なタウ病理を反映するリン酸化タウタンパク質の一種、GFAPは、中枢神経系の支持細胞であるアストロサイトに由来し、脳損傷や神経疾患の指標となるタンパク質、NfLは脳神経細胞軸索に由来し、神経細胞の損傷や神経変性を反映するタンパク質である。 Ashton氏らは、7つのコホートに属する337人を対象に、指先から採取した少量の血液をカード上で乾燥させたサンプルの解析を行い、そのうちの304人については静脈血漿サンプルを用いた測定結果と比較した。その結果、指先採血サンプル中のp-tau217値は静脈血漿サンプル中のp-tau217値と強く相関し、疾患重症度の進行や脳脊髄液バイオマーカー陽性を良好に反映していた。また、GFAPおよびNfLについても、指先採血サンプルと静脈血漿サンプルの測定値との間に強い相関が認められた。 Ashton氏らは、この簡便な検査法によって遠隔地からも研究に参加できるようになり、大規模なアルツハイマー病研究を実施しやすくなる可能性があるとの期待を示している。同氏らは、この検査が一般の患者に対して臨床で使用できるようになるのは、まだ何年も先のことではあるが、現時点でも、アルツハイマー病研究を加速させる一助になる可能性はあると話している。Ashton氏は、「最終的にわれわれは、症状が現れる前段階でアルツハイマー病を治療する方向へと移行しつつある。この流れが続くのであれば、定期的に医療機関を受診しない適格者を特定するための革新的な方法が必要になるだろう。今回の研究は、その方向性における一つのアプローチを示すものであり、さらなる検証が必要だ」とニュースリリースの中で述べている。 共著者の1人である英エクセター大学のAnne Corbett氏は、「私にとっても最も楽しみなのは、この技術によってバイオマーカー研究の民主化が可能になることだ。誰でも、どこにいても、脳疾患の解明に貢献できる未来に向かって、われわれは進んでいる。これは単なる技術的な進歩ではなく、神経科学研究のあり方を変えるパラダイムシフトである」とニュースリリースの中で話している。 研究グループによると、この方法はパーキンソン病や多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳損傷などアルツハイマー病以外の脳疾患に関する研究にも役立つ可能性があるという。(HealthDay News 2026年1月6日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/fingerprick-blood-test-accurately-assesses-signs-of-alzheimers-researchers-say Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock