認知症のあるメディケア加入高齢者の4人に1人が、抗精神病薬、バルビツール酸系薬、ベンゾジアゼピン系薬などの脳機能に影響を及ぼす薬剤によって危険にさらされていることが、新たな研究で明らかにされた。これらの高リスクの中枢神経系(CNS)活性薬は、転倒やせん妄、入院のリスクを上昇させ、特に、認知機能障害のある高齢患者においてはその影響が顕著であることから、ガイドラインでは使用を控えることが推奨されている。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デイヴィッド・ゲフィン医科大学院のJohn Mafi氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に1月12日掲載された。 Mafi氏は、「正常な認知機能を持つ患者と比較して、有害事象のリスクがより高い認知機能障害のある高齢者で、これらの薬剤の処方頻度が高いことが分かった」とニュースリリースで述べている。 本研究では、米連邦政府の健康・退職研究(Health and Retirement Study;HRS)のデータとメディケア請求データをリンクさせ、2013年1月1日から2021年12月31日の間に、メディケアパートA・B・Dに連続2年以上加入している65歳以上の患者4,842人を対象に、処方パターンを調べた。対象患者は、正常、認知症ではない認知機能障害(CIND)、認知症の3群に分類された。また、CNS活性薬は、1)抗コリン作用の強い抗うつ薬、2)抗精神病薬、3)バルビツール酸系薬、4)ベンゾジアゼピン系薬、5)非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を対象とし、これらの薬剤を1種類以上、28日以上処方されていた患者の割合を調べた。さらに、各処方の臨床的適応の有無についても判定した。 その結果、潜在的に不適切なCNS活性薬を処方された対象者の割合は、認知機能が正常な人で17.0%、CINDのある人で21.7%、認知症のある人で25.1%と推定され、認知機能の状態が悪いほどこのタイプの薬剤を処方されやすいことが示唆された。潜在的に不適切なCNS活性薬を処方された対象者の割合は、2013年の19.9%から2021年には16.2%へと3.7パーセントポイント有意に低下していた。臨床的に適切な処方は、2013年の6.0%から2021年には5.5%へとわずかに減少したが、統計学的な有意差はなかった。一方、臨床的に不適切な処方は15.7%から11.4%へと有意に減少していた。 Mafi氏は、「この減少は心強いものの、2021年時点で、これらの処方を受けていた患者の3分の2以上に、臨床的に正当化できる記録がなかった。これは、不適切で有害となり得る処方が依然として多いことを示している」と述べている。 対象とした薬剤の種類別に分析すると、2013年から2021年にかけて、以下のような傾向が認められた。・ベンゾジアゼピン系薬は11.4%から9.1%に有意に減少。・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は7.4%から2.9%に有意に減少。・抗精神病薬は2.6%から3.6%へと増加したが、統計学的な有意差なし。・抗コリン作用の強い抗うつ薬は2.6%のままで変化なし。・バルビツール酸系薬は0.4%から0.3%にわずかに減少したが、統計学的な有意差なし。 論文の筆頭著者であるUCLA内科レジデントであるAnnie Yang氏は、「高齢患者やその介護者は、これらの薬剤が本当に適切かどうかを医師と密に相談することが重要だ。不適切と判断された場合には代替治療を検討し、リスクを抑えながら薬剤の減量や中止が可能かどうかをケアチームとともに考えるべきだ」とニュースリリースの中で述べている。(HealthDay News 2026年1月13日) https://www.healthday.com/health-news/senior-health/seniors-with-dementia-being-prescribed-dangerous-mind-altering-drugs-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock