米国におけるがんの生存率は、過去最高水準に達している。米国がん協会(ACS)が発表した2026年版がん統計報告書によると、全てのがんを合わせた5年生存率が、1970年代半ばの49%から2015~2021年に初めて70%という快挙を達成した。このような生存率の向上は、致死性が高いとされてきたがんにおける生存率の改善を反映しているという。ACSサーベイランス研究部門シニア・サイエンティフィック・ディレクターを務めるRebecca Siegel氏らによるこの報告書は、「CA: A Cancer Journal for Clinicians」に1月13日掲載された。 同報告書では、特に死亡率が高いがんや進行がんで5年生存率の改善幅が大きいことも示された。具体的には、1990年代半ばから2015〜2021年にかけて、多発性骨髄腫では32%→62%、肝がんでは7%→22%、転移性メラノーマでは16%→35%、遠隔転移性直腸がんでは8%→18%、局所進行肺がんでは20%→37%、遠隔転移性肺がんでは2%→10%に上昇した。 Siegel氏は、「この驚くべき成果は、数十年にわたるがん研究の積み重ねによって、臨床医が、がんのより効果的な治療手段を手に入れた結果だ。多くのがんが、死に至る病から慢性疾患へと変わりつつある」と述べている。 ACSは、こうした改善の背景として、がんの早期発見や治療の進歩、ならびに喫煙率の低下を挙げている。2026年には、米国で211万4,850件(1日当たり約5,800件)の新たながん診断が見込まれており、62万6,140人(1日当たり1,720人)ががんで死亡すると予測されている。全体として、がん死亡率は低下傾向を維持しており、1991年のピークから2023年には34%減少した。これは、がんによる死亡を推定480万件防ぐことができたことに相当するという。一方で、乳がん、前立腺がん、肝がん、メラノーマ、口腔がん、膵がん、子宮体がんなど、多くの一般的ながんでは症例数が増加し続けている。 ACSの専門家は、トランプ政権下での研究資金削減が、こうした進歩を脅かしていると警告している。ACSのCEOであるAhane Jacobson氏は、「数十年にわたり、連邦政府はがん研究の最大の資金提供者であり、その支援のもとで進められてきた研究により、最も致死的ながんでさえ生存期間は延びてきた。しかし現在、がん研究への資金削減や医療保険へのアクセス低下がこの進歩を逆戻りさせ、将来のブレークスルーを停滞させかねない状況に陥っている。われわれは立ち止まるわけにはいかない。まだやるべきことは多く残されている」とニュースリリースで述べている。 2026年に最も多くの死亡を引き起こすのは肺がんであり、第2位の結腸がんと第3位の膵がんを合わせた死亡数を上回ると予測されている。また、人種格差が依然として存在することも指摘されている。例えば、ネイティブ・アメリカンの人では、腎がん、肝がん、胃がん、子宮頸がんによる死亡率が、白人の2倍に達している。 報告書の上席著者でACSのサーベイランス・予防・医療サービス研究担当のAhmedin Jemal氏は、「質の高いがん医療へのアクセス不足や社会経済的要因が、こうした人種格差の持続に大きく関与している。効果が実証された標的型のがん治療をより広く、より公平に、全ての集団に適用できるよう、今後、これらの領域に重点的に力を注ぐ必要がある」と述べている。 さらに報告書では、がんサバイバーでは他の慢性疾患のリスクが高いため、これらの人への継続的な医療支援を強化する必要性も指摘されている。ACSのチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであるWilliam Dahut氏は、「がん治療は、疾患の管理や治癒するための医療行為にとどまらない。生存率が向上する中で、がんサバイバーシップ、すなわち身体的・精神的・経済的課題への対応が重要になる。数百万人のがんサバイバー、介護者、臨床医を支援するための資源が増えていることは心強いが、患者の生存期間を延ばすだけでなく、その質を高めるためにさらなる戦略が必要だ」と述べている。(HealthDay News 2026年1月14日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/us-cancer-survival-rates-reach-record-high-report-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock