治療抵抗性うつ病は、埋め込み型デバイスによって脳と内臓を結ぶ迷走神経に電気刺激を送る迷走神経刺激療法(VNS)により改善する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。このデバイスによる治療で症状の改善が認められた患者の約80%が2年後もその状態を維持し、さらに20%以上は、2年後には抑うつ症状がほぼ消失していたという。米ワシントン大学セントルイス校治療抵抗性気分障害センター所長のCharles Conway氏らによるこの研究結果は、「International Journal of Neuropsychopharmacology」に1月13日掲載された。研究グループによると、VNSは以前からうつ病治療に有望とされており、米食品医薬品局(FDA)は、てんかんおよびうつ病の治療としてVNSを承認済みである。 Conway氏は、「2年後に5人に1人の患者が実質的に寛解状態であったことには、われわれも驚いた。うつ病のような複雑な疾患でこうした結果が得られたことから、この治療法の将来には大きな希望を感じている」とニュースリリースで語っている。さらに同氏は、「重度の治療抵抗性うつ病を対象とした研究では、効果が長期的に持続することは非常にまれであり、まして2年後まで続く例などなかったことを考えると、今回の結果は極めて異例だ。症状が改善した患者が、その状態を維持しているのだ」と付け加えている。 今回の研究では、4種類以上の抗うつ薬による治療に反応しなかった中等度から重度のうつ病を有する成人患者214人(平均年齢55.2歳)を対象に、補助療法としてのVNSの効果が検討された。患者は、英国のLivaNova USA社が製造した「VNS Therapy System」と呼ばれる埋め込み型デバイスを装着し、盲検下で12カ月間、さらにオープンラベル条件下で12カ月間、VNSを受けた。研究グループは、治療から12カ月時点で、抑うつ症状(3種類の指標で評価)、日常生活機能、生活の質(QOL)、これら3領域を統合した三領域複合指標、および全般的改善度(CGI-I)の改善が、18カ月時点および24カ月時点でも維持されているのかを評価した。 その結果、12カ月時点で意味のある改善(少なくとも30%改善)以上を達成した対象者の割合は、指標ごとに差があり、最も低かったのは抑うつ状態の評価尺度の1つであるモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)での43.6%、最も高かったのは三領域複合指標での80.0%であった。12カ月時点で意味のある改善を達成した対象者のうち、18カ月時点および24カ月時点でもその改善を維持していた割合は、18カ月時点で78.0〜89.2%、24カ月時点で79.2〜89.6%であった。7種類の指標を統合して見ると、12カ月時点で意味のある改善を達成した対象者のうち、その改善を維持していた割合の中央値は、18カ月時点で83.1%、24カ月時点で81.3%であった。 なお、研究グループによると、本研究の目的の一つは、米国メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)が、将来的なVNSの保険適用を判断するためのエビデンスを提供することだという。VNSは、現状では治療費が非常に高額であり、多くの患者にとって利用が難しい。CMSがこの治療をカバーすれば、多くの民間保険会社も追随すると研究グループは見ている。 Conway氏は、「この試験で対象とされた治療抵抗性うつ病患者の重症度は、過去の臨床試験の対象患者と比べてはるかに重症だと思われる。こうした患者には、現状では他に治療選択肢がないため、有効な治療法が切実に求められている。慢性的で重度の障害を伴うこのような疾患では、たとえ部分的な改善であってもそれが人生を大きく変える。今回、VNSによりその改善効果が持続することが示された」と述べている。(HealthDay News 2026年1月16日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/nerve-stimulation-halts-depression-in-more-than-20-of-patients-clinical-trial-reports Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock