長年使用されてきた生物学的製剤を事前に投与することで、関節リウマチ(RA)の発症を数年間遅らせることができる可能性のあることが、新たな研究で示された。アバタセプト(商品名オレンシア)を週1回、52週間にわたり投与された人では、RAの発症が最大で4年遅延したという。アバタセプトは、免疫細胞の活性化を抑えることでRAの原因となる免疫反応を低下させる薬剤であり、2005年末に米食品医薬品局(FDA)によりRA治療薬として承認された。英キングス・カレッジ・ロンドン、リウマチ性疾患センター長のAndrew Cope氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Rheumatology」に1月20日掲載された。 現在、RAを予防できる承認済みの治療法は存在しない。しかし研究グループは、今回の結果は、RA発症リスクの高い患者にアバタセプトを用いた治療を行うことで、疾患とともに生きる期間を短縮できる可能性があることを示していると述べている。論文の筆頭著者であるCope氏は、「RA高リスク者への早期介入が長期的な利益をもたらし得ることが示された。このアプローチは安全で、治療期間中はRAの発症を防ぐだけでなく症状を大きく緩和し、さらに治療終了後も数年間にわたりRAの発症を遅らせることが確認された。これにより、症状や合併症とともに生きる期間が短縮され、生活の質(QOL)は大きく改善される可能性がある」と述べている。 アバタセプトに関する臨床試験の一つであるAPIPPRAは、ACPA(抗シトルリン化蛋白抗体)陽性の213人を対象に英国とオランダで実施された第2b相ランダム化比較試験である。試験参加者は、週1回、52週間にわたりアバタセプトを皮下注射する群(110人)とプラセボを投与する群(103人)に割り付けられ、その後52週間追跡された。今回の解析では、APIPPRA参加者のうちアバタセプト群71人、プラセボ群72人の計143人(平均年齢48.2歳、女性78%)を対象に、4〜8年間の長期追跡を行い、アバタセプトの長期的効果が検討された。 その結果、ランダム化から2年時点で認められたRA発症までの期間の群間差は4年時点でも有意に維持されていた(差4.9カ月、95%信頼区間0.1〜9.6、P=0.044)。アバタセプトによる52週間の治療効果は、治療終了後も長期間にわたり持続することが明らかになったが、時間とともに群間差は縮小した。RA発症までの期間をカプラン・マイヤー曲線で検討すると、ランダム化から4年目まではアバタセプト群でRAへの進行割合が低かったものの、4年以降では群間差が認められなくなった。 アバタセプトの効果は、ACPA力価が高い人で顕著であった。これは、これらの高リスク者はRA発症リスクが高い一方で、早期治療から得られる利益も大きいことを意味する。一方、症状に関しては、関節痛や疲労感などの症状は、アバタセプト投与中には改善したが、1年間の治療終了後には通常のレベルに戻った。 研究グループは、「治療の中止後は、アバタセプトはRAの発症を遅らせるものの、完全に予防するわけではない。患者報告アウトカムに対する効果は短期間で、治療期間中に限られていたことから、疲労、疼痛、身体的・精神的健康障害などの症状を抑制するには継続治療が必要である」と述べている。 なお、本研究は、アバタセプトの製造元であるブリストル・マイヤーズ スクイブ社の資金提供を受けて実施された。(HealthDay News 2026年1月22日) https://www.healthday.com/health-news/bone-and-joint/advance-treatment-can-delay-onset-of-rheumatoid-arthritis-by-years-trial-data-show Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock