ボトル入り飲料水を飲むことは、極めて安全な水分補給の方法と感じられるかもしれない。しかし、ボトル入り飲料水は多くの人々が考えているほど純粋ではなく、有害な化学物質を含んでいる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。10種類の人気ボトル入り飲料水ブランドの全てから化学物質が検出され、その中には政府による規制の対象となっていない化学物質も含まれていたという。米サウスカロライナ大学化学教授のSusan Richardson氏らによるこの研究の詳細は、「Water Research」3月15日号に掲載予定。 この研究では、10種類のボトル入り飲料水ブランドと水道水を対象に、ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて規制対象および規制対象外の64種類の消毒副生成物(DBP)と呼ばれる化学物質について分析した。DBPは、飲料水の塩素消毒などの過程で、消毒剤が水中の天然有機物と反応して生成される化学物質である。飲料水の消毒は、コレラや腸チフスのような致死性の感染症を防ぐために不可欠である。しかし、その過程で生じるDBPが健康リスクをもたらす可能性がある。 解析対象となったボトル入り飲料水には、原水として水道水を用い、ろ過やオゾン処理などにより精製した製品(精製水)と、湧水または地下水を原水とし、ろ過などにより処理した製品(天然水)が含まれていた。解析の結果、全てのボトル入り飲料水からDBPが検出されたものの、その濃度は概して水道水よりもはるかに低かった。また、水道水からは通常37種類のDBPが検出されるのに対し、ボトル入り飲料水から検出されるDBPは平均3種類とはるかに少なかった。さらに、ボトル入り飲料水のうち、天然水では精製水よりも個々のDBP濃度が低い傾向が見られたが、総DBP濃度については天然水と精製水の間に統計学的な有意差は認められなかった。一方、精製水のうち2種類のスーパーマーケット・ブランドの製品では、毒性指標が他の製品と比べて最大で43倍または83倍高いことが判明した。 Richardson氏は、「これはボトル入り飲料水には良い研究結果であると私は考えている。これまで、有害性の評価の優先度が高いものの規制対象外となっているDBPの大半について、ほとんど情報がなかった。しかし、今回その情報を得ることができたからだ」とNewsweek誌に語っている。同氏によると、ヒトを対象とした多くの疫学研究で、DBP曝露は膀胱がんリスクの上昇と関連することが示されており、また、大腸がんリスク、流産や先天異常のリスクとの関連を示唆する研究も報告されているという。特に懸念される化学物質の一つが、規制対象外で、がんの原因となる可能性が指摘されているジブロモアセトニトリルである。研究グループによると、ボトル入り飲料水のジブロモアセトニトリルの濃度は低く、水道水の濃度と同程度であったという。 今回の研究結果の報告を受けて、米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のNatalie Exum氏は、「規制対象外のDBPは、その毒性プロファイルから最も懸念されているが、健康への影響に関しては、まだ規制を要することを裏付けるエビデンスが得られていない。このことは、われわれが健康への有害性を十分に理解しないまま、これらを摂取している可能性があることを意味している」と話している。 一方、この研究結果は、全般的にボトル入り飲料水の方が水道水よりも安全性は高いことを意味するものではないと指摘する専門家もいる。米ギャノン大学でエリー湖の水質改善を目指すプロジェクト「NePTWNE」のディレクターを務めるSherri Mason氏は、「ボトル入り飲料水よりも水道水の方が安全性は高いというのが私の考えだ」とNewsweek誌に語っている。同氏は、別の研究で、ボトル入り飲料水には大量のマイクロプラスチックやベンゼンなどの化学物質が含まれている可能性が指摘されていることも付け加えている。また、水道水は1日に複数回にわたって検査されるのに対し、ボトル入り飲料水では検査頻度がはるかに低いことも指摘している。(HealthDay News 2026年1月20日) https://www.healthday.com/health-news/nutrition/some-popular-bottled-waters-contain-unregulated-chemicals-researchers-say Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Shutterstock