気付かれにくく危険性の高い心臓リズム障害である心房細動(AF)を検出する医師の能力が、スマートウォッチによって大きく向上する可能性を示した臨床試験の結果が報告された。同試験でApple Watchを装着していた患者では、医師がAFを発見する頻度が4倍に増加したという。また、AFを抱えていたApple Watch装着者の半数以上には、診断前に明らかな症状はなかったことも分かった。アムステルダム大学医療センター(オランダ)の循環器専門医であるMichiel Winter氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology」に1月22日掲載された。 ある世代以降のApple Watchには、心臓の健康状態の監視に役立てるために、心拍数を測定する光電式容積脈波記録法(PPG)と心臓のリズムを監視する単極誘導心電図(ECG)が搭載されている。Winter氏は、「PPGとECGの機能を備えたスマートウォッチの使用は、自分の不整脈に気が付いていない人の診断を助け、診断プロセスの迅速化につながる」と説明。また、「この研究結果は脳卒中リスクの低下につながる可能性を示唆するものであり、患者にとって有益であるだけでなく、医療システム全体にもコスト削減という形で良い影響をもたらし得る」とニュースリリースの中で述べている。 論文の研究背景によると、AFは最も高頻度に見られる不整脈の一つである。米国心臓協会(AHA)によると、AFを有する人では、AFにより血液が心臓内に滞留して血栓が形成されやすくなり、脳卒中のリスクが5倍に高まるという。しかし、AF症例のおよそ半数は発作性で自覚症状もないため、発見や診断が難しいという。この臨床試験の結果をレビューした米ノースウェル・ヘルス電気生理学部門でシステムディレクターを務めるLaurence Epstein氏は、「人々は多くの場合、診察室で心電図検査を受ける。しかし、それは断続的あるいは極めてまれにしか起こらない可能性がある異常を、3秒間だけ切り取られた人生の中で探そうとしているに過ぎない」と指摘している。 今回報告された臨床試験では、脳卒中リスクが高い65歳以上の男女219人にApple Watchを提供し(介入群)、218人に標準的なケアを受けてもらった(標準ケア群)。Apple Watchによるモニタリング期間は6カ月間で、介入群はApple Watchを1日12時間装着した。 その結果、6カ月後までに介入群では21人がAFと診断されたが、そのうち半数以上(57%)では自覚症状がなかった。一方、標準ケア群でAFと診断されたのは5人にとどまり、いずれの患者も診断につながる症状を経験していた。 臨床試験を主導したアムステルダム大学医療センターのNicole van Steijn氏は、脈拍と電気活動の両方を測定できるウェアラブル機器自体は以前から存在していたと話す。しかし、「AFのリスクが高い患者のスクリーニングにおいて、この技術がリアルワールドでどの程度有効に機能するのかについては、これまで検証されてこなかった」とニュースリリースの中で説明している。Epstein氏は、「特定の集団において、通常の方法では見逃されやすいAFの検出にスマートウォッチの使用が有効であることが示された」と述べている。さらに同氏は、大きな視点から見ると、この臨床試験から、症状が出たり消えたりする健康問題の検出にスマートウォッチのようなデバイスを活用できる可能性が示されたとも話している。 なお、Epstein氏によると、AF患者は脳卒中リスクを下げるため抗凝固薬の処方を受ける可能性があるが、最大で50%は抗凝固療法を受けていないという。同氏は、「患者のAFや心不全、冠動脈疾患などの発症リスクを高めるリスク因子の継続的なモニタリングでわれわれにできるあらゆることが、こうした長期的な転帰の一部を防ぐ可能性を高めることにつながる」と述べている。(HealthDay News 2026年1月23日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/smartwatches-help-detect-hidden-dangerous-heart-rhythm-problems-clinical-trial-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock