長生きするためには、健康的な食生活を送り、適度に運動を行い、悪い習慣を避けることが基本だと言われている。しかし、遺伝の影響(遺伝率)はそれ以上に重要かもしれない。新たな研究で、寿命の約55%は遺伝によって説明される可能性が示された。これは、これまでの推定(6〜33%)を大きく上回る数字だ。ワイツマン科学研究所(イスラエル)のBen Shenhar氏らによるこの大規模研究の詳細は、「Science」に1月29日掲載された。 これまで推定された寿命の遺伝率は20~25%程度と推定されており、なかには6%と見積もられたこともあった。しかし研究グループは、これらの推定値は、事故や感染症などの外的要因による死亡(外因性死亡)と、老化や病気などの内的要因による死亡(内因性死亡)を区別せずに推定された数字だと指摘している。この欠点を踏まえて今回の研究では、外因性死亡と内因性死亡を数学的に分離するモデルを構築し、双子を対象にした3つの大規模研究のデータを用いて、内因性死亡による寿命がどの程度遺伝の影響を受けるのかを検討した。 その結果、外因性死亡の影響を補正すると、内因性死亡の遺伝率は約55%と、従来の推定値より大幅に高いことが示された。このような高い遺伝率は、ヒトの複雑な形質の多くや他の種の寿命の遺伝率とほぼ同様であった。 Shenhar氏は、「この数字は根拠のないものではない。双子研究を見ると、ほとんど全ての人間の形質の遺伝率は50%程度だ。例えば、閉経年齢の遺伝率も約50%だ」と述べている。コペンハーゲン大学(デンマーク)のMorten Scheibye-Knudsen氏も、この方法によって老化を理解する際の「外的ノイズ」を除去できたと指摘している。同氏は、「人間は、最長で120歳まで生きる。酵母の寿命は13日、ボウヘッドクジラ(北極クジラ)の寿命は200年だ。われわれは、遺伝子が寿命の限界を決めていることをすでに知っている。それゆえ、寿命は、われわれの行動だけで説明できる問題ではないということについて、もう少し考えるべきだったと思う」と話している。 一方、米バック老化研究所のEric Verdin氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの感染症による死亡も遺伝の影響を受ける可能性があると指摘している。しかしShenhar氏らによると、加齢に伴う健康リスクの上昇を考慮してデータを再分析しても、寿命の約50%は遺伝的要因によって説明されることが確認されたという。 さらにこの研究は、100歳まで生きる人が慢性疾患のリスクを下げる遺伝子を持っていることを示す以前の研究結果とも一致している。Shenhar氏は、「100歳まで生きる人は、単に頑張って生き延びているわけではない。加齢による悪影響から身を守る遺伝子を持っているのだ」と説明している。現在、寿命に関わることが分かっている遺伝子はFOXO3、APOE、SIRT6とわずかだが、Verdin氏は、「寿命は一つの遺伝子ではなく、多くの遺伝子が相互に作用して決まる」と述べている。 ただし、Verdin氏とShenhar氏はいずれも、生活習慣の重要性を強調している。Shenhar氏は、「遺伝が寿命の55%を決めるとしても、残りの45%は食事や運動、生活習慣などに左右される。このことは、『それなら何をしたって一緒だ。遺伝で寿命が決まっているのなら、生活習慣を改め、飲酒を控え、運動を行う必要があるのか』と悲観的に捉えられがちだ」と指摘する。その上で、「われわれの論文が伝えているメッセージは、生活習慣や運動、食事が重要ではないということではない。遺伝が潜在的な寿命の範囲を決めているとしても、それは生活習慣次第で多少は伸びたり縮んだりする。だからこそ、生活習慣は依然として大切なのだ」と強調している。(HealthDay News 2026年2月2日) https://www.healthday.com/health-news/longevity/study-finds-genetics-may-shape-up-to-55-of-how-long-you-live Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock