握力は従来、筋力の指標とされているが、変形性関節症(OA)患者においては、握力よりも、椅子から立ち上がれるかなどの日常生活動作の方が生活の質(QOL)に大きく影響することが示された。シャルジャ大学(アラブ首長国連邦)のAsima Karim氏らによるこの研究の詳細は、「European Journal of Applied Physiology」に12月6日掲載された。Karim氏は、「この結果は非常に印象的だった。OA患者は握力が弱く、QOLも全体的に低いが、QOL低下の実態を示していたのは、握力ではなく日常生活動作だったのだ」と述べている。 この研究では、SHARE(Survey of Health, Ageing and Retirement in Europe)第8波の調査データを用いて、握力および身体能力と、コントロール感、自立度、自己実現、喜びの4領域から成る評価ツールであるCASP-12で測定した心理社会的QOLとの関連が検討された。対象者は、ヨーロッパの28カ国からSHAREに参加した50歳以上のOA患者7,591人(OA群)、およびOAではない参加者3万923人(非OA群)であった。 その結果、OA群は非OA群と比較して、握力とCASP-12スコアのいずれも有意に低かった(P<0.05)。また、両群とも握力が高いほどCASP-12スコアも高いという正の関連が認められたが、その関連は強いものではなく、非OA群の方がわずかに強かった。一方、身体機能との関連については、運動課題(歩行、椅子からの立ち上がり、階段の昇降など)が困難で疲労感が強いほどCASP-12スコアは低下するという負の関連が認められ、QOLが低いことの最も明確なサインは、簡単な日常生活動作がうまくできないことであることが示唆された。 Karim氏は、「この研究結果のメッセージは明確だ。OA患者においては、握力よりも、自信とエネルギーを持って世界を動き回れるかどうかがQOLを形作るということだ」と述べている。 さらに、本研究では、持続的な疲労感が患者の健康において重要であるにもかかわらず見落とされがちな要因であることも明らかになった。この結果を踏まえて研究グループは、「臨床医は、痛みの緩和だけでなくエネルギー管理も優先すべきだ。動く気力が出ないと、患者の自信や自立性は急速に低下し、QOLも全体的に低下する」と述べている。 共著者の1人である同大学のRizwan Qaisar氏は、「治療の目標を症状の管理にとどめるべきではない。高齢のOA患者のQOLを向上させたいのなら、薬だけでなく、移動能力、エネルギー、機能的自立に注目する必要がある」と述べている。(HealthDay News 2026年2月5日) https://www.healthday.com/health-news/bone-and-joint/beyond-grip-strength-study-shows-daily-movement-is-key-to-living-well-with-osteoarthritis Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock/blackday (参考情報)Abstract/Full Texthttps://link.springer.com/article/10.1007/s00421-025-06082-9