妊娠中の危険な高血圧症の発症率を、ある簡単な対応を取ることで減らせる可能性があるようだ。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのElaine Duryea氏らの研究で、初回妊婦健診時に全ての妊婦にアスピリンを処方することが、重症所見を伴う妊娠高血圧腎症(以下、重症妊娠高血圧腎症)のリスク低下と関連することが明らかになった。この研究は、母体胎児医学会議(SMFM 2026、2月8〜13日、米ラスベガス)で発表された。Duryea氏は、「高リスク妊婦に対して直接アスピリンを提供する手法は、重症妊娠高血圧腎症の発症を遅らせ、場合によっては発症を完全に防ぐこともできるようだ」と述べている。 妊娠高血圧腎症は、妊娠中に持続的な高血圧と蛋白尿を伴い、母体の臓器に損傷を引き起こすことがあり、早産や死産のリスクも高める。一部の患者では、重症の高血圧と肝機能・腎機能障害により、母体と胎児に重大なリスクを生じる重症妊娠高血圧腎症に陥る。妊娠12〜28週の間に低用量アスピリンの服用を開始することは、妊娠高血圧腎症の予防に有効であることが知られているが、研究グループによると、これは広く用いられている治療法ではないという。 研究グループは2022年8月3日より、妊娠16週以下の全妊婦に対し、アスピリン162mgを毎日服用するよう処方し始めた。特筆すべきは、クリニックでアスピリンを患者に直接配布し、薬剤へのアクセスを確実にした点である。Duryea氏らは、アスピリンが提供された後に出産した1万8,457人の妊婦(アスピリン群)の結果を、アスピリンを処方されなかった同数の女性(非アスピリン群)と比較した。 その結果、アスピリン群では非アスピリン群と比べて、重症妊娠高血圧腎症の発症リスクが29%低下していた(オッズ比0.71、95%信頼区間0.66〜0.78、P<0.001)。また、重症妊娠高血圧腎症を発症するまでの時間も、アスピリン群で有意に長かった。さらに、すでに慢性高血圧を有する妊婦においても、アスピリン群では重症妊娠高血圧腎症の発症リスクが28%低下していた(オッズ比0.72、95%信頼区間0.60〜0.87)。安全性に関しては、アスピリン群と非アスピリン群の間で、新生児の脳室内出血(IVH)や腹壁破裂、常位胎盤早期剥離の頻度に差は見られず、出血量1,000mL超の産後出血は、非アスピリン群でやや低下した(9.5%対8.9%、P=0.03)。 Duryea氏は、「他の患者集団でも同様の効果が見られるのかについては断言できないが、アスピリン投与の有害性のエビデンスは見当たらなかった」と述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2026年2月13日) https://www.healthday.com/health-news/pregnancy/one-simple-step-can-reduce-risk-of-preeclampsia-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock