地方のがん患者は、主要な医療機関で治療を受けるために長距離移動することが多いが、そうした長旅は、必ずしも必要ではないかもしれない。肺がんまたは大腸がん患者を対象にした新たな研究で、地元の病院で治療を受けた場合と都市部の医療機関へ移動して治療を受けた場合で、死亡率や手術の転帰に大きな差は認められなかったことが明らかになった。米ルイビル大学外科学分野のMichael Egger氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に2月11日掲載された。Egger氏は、「地方に住むがん患者は、高品質で多職種が連携するがん治療を受ける機会を得られないことが多い。しかし、全ての患者が手術を受けるために長距離を移動できるわけではないし、すでに受け入れ能力の限界に達している都市部のハイボリューム施設にとっても持続可能ではない」とニュースリリースで指摘している。Egger氏らは今回、SEER(Surveillance, Epidemiology, and End Results)-メディケアのデータを用いて、地方在住で65歳以上の大腸がん患者1万383人および肺がん患者6,006人を対象に、がんの手術を地方で受けた場合と都市部で受けた場合の転帰を比較した。肺がん患者では、75%(4,493人)、大腸がん患者では54%(5,633人)が都市部の病院で手術を受けていた。肺がん患者、大腸がん患者のいずれにおいても、地方で手術を受けた群(地方群)と都市部で手術を受けた群(都市部群)の間に、人口統計学的特徴やがんのステージについて有意な差は認められなかった。術後3カ月間の死亡率は、肺がん患者では地方群で5.2%、都市部群で4.8%、大腸がん患者ではそれぞれ7.3%と6.9%であり、いずれも有意な群間差は認められなかった。さらに、術後30日間の再入院率についても、肺がん患者では両群とも10.4%、大腸がん患者では両群とも14.0%であり、群間差は認められなかった。一方で、都市部の病院で治療を受けた患者は、治療のためにより長距離を移動していた。具体的には、大腸がん患者の移動距離の中央値は、地方群での16マイル(約26km)に対して都市部群は49マイル(約79km)と約3倍の距離を移動していた。これを移動時間に換算すると、それぞれ23分と58分に相当した。肺がん患者でも、地方群で35マイル(約56km)、都市部群で61マイル(約98km)と都市部群の移動距離が長く、移動時間はそれぞれ49分と72分に相当した。地方在住の患者の一部は、依然として必要な治療を受けるために都市部へ移動しなければならない場合はあるが、研究グループは、「今回の結果は、地域病院でも一定のがん手術を十分に提供できることを示している」と述べている。Egger氏は、「移動時間の長さや移動に伴う費用は、地方在住のがん患者の多くにとって大きな負担となり得る。医療システムが医療供給体制を地域ごとに再編していく中で、地元で治療を受けても問題ない患者と、より集約化された医療を受けることで利益を得られる患者を見極めることが重要になってくるだろう」と述べている。研究グループは今後、地方と都市部の病院のうち、最良の結果を出している施設を分析し、何が優れていたのかを明らかにする予定だという。また、地方の病院が、手術以外のがん治療においても都市部の施設と同等のケアを提供しているかどうかも調べる計画があるとしている。(HealthDay News 2026年2月13日)https://www.healthday.com/health-news/cancer/traveling-to-the-big-city-for-cancer-care-that-might-not-be-necessary-for-all-rural-patients-study-saysCopyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock