暑くて寝苦しい夜、眠れずに寝返りを打ち、枕をひっくり返したりした経験はないだろうか? オーストラリアの高齢者を対象とした研究で、寝室の温度が睡眠の質に大きな影響を与える可能性のあることが示された。グリフィス大学(オーストラリア)保健医療・スポーツ・ソーシャルワーク学分野のFergus O’Connor氏らによるこの研究の詳細は、「BMC Medicine」に12月29日掲載された。この研究では、2024年12月から2025年3月の夏季に、オーストラリアの65歳以上の高齢者を対象に、寝室の温度が睡眠にどのような影響を与えるのかが検討された。研究参加者は、睡眠中の心臓の活動を測定するため、利き手ではない方の手首にフィットネストラッカーを装着した。また、寝室に設置した温度センサーで夜9時から朝7時までの室温を記録した。夜間の室温は、24℃未満、24〜26℃、26〜28℃、28〜32℃の4群に分類した。解析の結果、夜間の室温が24℃未満に保たれていた群と比べて、それ以上の室温だった群では、副交感神経(リラックス・回復を担う神経)の働きを反映する心拍変動の指標であるlnRMSSDに、臨床的に意味のある低下が認められた。lnRMSSD低下のオッズ比は、24〜26℃の群で1.4(95%信頼区間1.2〜1.6)、26〜28℃の群で2.0(同1.8〜2.3)、28〜32℃の群で2.9(同2.5〜3.4)であり、室温が高くなるほど、睡眠中の自律神経の回復が妨げられる可能性が示された。また、心拍変動の周波数解析においては、室温が高いほど、HF(副交感神経の活動を主に反映する高周波成分)とLF(交感・副交感神経の影響を受ける低周波成分)がいずれも低下し、交感神経の優位性の程度を示す指標であるLF/HF比は上昇していた。さらに、心拍数も上昇していた。O’Connor氏は、「65歳以上の人にとって、夜間の寝室の温度を24℃未満に保つことは、睡眠中のストレス反応の上昇を抑える効果があった」とニュースリリースの中で述べている。同氏はまた、暑さは心臓に過度の負担をかけることを指摘し、「人体が暑さにさらされると、正常な生理的反応として、心臓は心拍数を上昇させて血液を皮膚表面へ循環させて身体を冷やそうとする。しかし、心臓がより激しく働き、それが長時間続くとストレスとなり、その日にさらされた暑さからの回復力が阻害されてしまう」と説明している。研究グループによると、今回の研究は、このような影響を実際の家庭環境という現実的な状況で示した最初の研究の一つだとしている。なお、この研究結果は、気候変動によって夜間の気温が上昇し続けている中で報告された。O’Connor氏は、「気候変動は暑い夜の増加をもたらしているが、このことは睡眠や自律神経の回復を妨げ、心血管疾患の発症や死亡に独立して影響する可能性がある」と指摘する。同氏はまた、「日中の屋内の温度の上限を26℃とするガイドラインはあるが、夜間の環境については推奨が示されていない」と述べ、公衆衛生上の指針における課題も指摘している。(HealthDay News 2026年2月12日)https://www.healthday.com/health-news/sleep-disorder/why-bedroom-temperature-matters-more-for-sleep-as-we-ageCopyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock