新たな脳インプラントにより、キッチンまで歩く、公園を散歩するなど、日常生活の中で何らかの動作をしているパーキンソン病患者から歩行に関連する脳信号をリアルタイムで記録し、その場で歩行中か否かを判定できることを示した研究結果が報告された。この完全埋め込み型のインプラントを使用することで、医師はパーキンソン病患者の運動機能をより効果的に改善できる可能性がある。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のDoris Wang氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に2月13日掲載された。 Wang氏は、「完全埋め込み型の脳インプラントを用いて、実世界で活動している間の特定の動作状態を検出できたのは、今回が初めてだ。われわれが得た結果は、実験室の外でも意味のある神経信号を特定できることを示している。これは、より個別化され、応答性の高いニューロモジュレーション(神経調節)療法への重要な一歩だ」と述べている。 パーキンソン病では、歩幅の狭いすり足のような歩行、硬直、バランス機能の低下、震え、不随意運動などの運動障害が主要な症状として現れる。今回の研究では、脳深部刺激療法(DBS)のためのインプラントを受ける予定だった4人のパーキンソン病患者を対象に、日常生活における歩行状態を脳信号から推定できるかを検証した。対象者の脳の運動野と淡蒼球内節に埋め込まれたインプラントは、電気刺激を送るだけでなく、脳活動を記録し、リアルタイムで解析する機能も備えていた。このインプラントを通じて、日常生活での自然な行動が合計80時間以上記録された。この間、患者の足首には歩行センサーも装着され、歩行データも測定された。 その結果、患者が歩行中か歩行していない状態かを脳波だけで区別できることが明らかになった。また、その脳波パターンは、患者ごとに異なっていることも判明した。研究グループは、こうした患者ごとの脳波フィードバックを基に、患者が「歩いているのか」「座っているのか」「その他の動作をしているのか」に合わせてDBSの刺激を調整できる可能性があるとしている。 Wang氏は、「われわれは、歩行に関連する個別の神経バイオマーカーを特定し、埋め込み型デバイスという制約下においても、それらの信号からリアルタイムで歩行状態を分類できることを示した。これは、患者の活動状態に応じて刺激を調整できる将来の適応型DBSシステムの基盤となる」と述べている。 ただし、脳波を活用し、インプラントを動作に応じて適応させる方法を確立するには、さらなる研究が必要である。Wang氏は、「自然な行動中の脳活動を研究できるようになれば、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)や適応型ニューロモジュレーションの適用範囲が、実験室の枠を越えて日常生活へと広がっていくだろう」と述べている。(HealthDay News 2026年2月17日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/brain-implant-can-read-movement-of-parkinsons-patients-opening-door-to-more-effective-treatment Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Pixel-Shot -- Adobe Stock