米国の実業家であるヘンリー・フォード(Henry Ford)氏はかつて、「20歳であろうと80歳であろうと、学ぶことをやめた人は老いている。学び続ける人はいつまでも若い」と述べているが、この言葉には確かな根拠があるようだ。生涯にわたり学習を続ける人は、アルツハイマー病(AD)のリスクが低く、脳の老化も緩やかになることが、新たな研究で明らかにされた。米ラッシュ大学医療センター精神科・行動科学分野のAndrea Zammit氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に2月11日掲載された。 Zammit氏は、「われわれの研究では、幼少期から高齢期までの間の知的好奇心をかき立てる活動や環境に着目した。今回の結果は、高齢期の認知機能が、生涯を通じて知的に刺激的な環境に触れてきたかどうかに大きく影響されることを示唆している」と話している。 この研究では、認知症のない平均79.6歳の1,939人(75%女性)を7.6年にわたり追跡し、生涯を通じた認知エンリッチメントと、ADおよび関連認知症(ADRD)の病理指標、および認知的レジリエンスとの関連を検討した。エンリッチメントとは、何かをより良く、より豊かにすることを意味する。試験参加者は、人生のさまざまな段階でどれほど知的な活動に触れてきたかに関するアンケートに回答した。認知エンリッチメントの具体的な指標は、人生の早期段階(18歳まで)では、読み聞かせや読書、家庭に新聞や地図帳があるか、5年以上の外国語学習など、中年期(40歳頃)では、40歳時点の収入、雑誌の購読や図書館カードなどの家庭の文化的資源、図書館や博物館を訪れる頻度、高齢期(平均80歳〜)では、読書、文章を書くこと、ゲーム、退職後の収入などであった。 追跡期間中に551人がADを発症した。解析の結果、生涯の認知エンリッチメントが1単位高いことは、ADリスクの38%の低下と関連していた(ハザード比0.62)。また、認知エンリッチメントの高さが上位10%の人は、下位10%の人と比べて、ADの発症が平均5年遅れることも示された。さらに、生涯の認知エンリッチメントが高い人ほど、研究参加時の認知機能スコアが有意に高く、認知機能の低下速度も緩やかだった。 死亡した948人の脳を用いた解析からは、生涯の認知エンリッチメントと神経病理学的指標との間に意味のある関連は認められなかった。しかし、生涯の認知エンリッチメントが高い人では、死亡前の認知機能が有意に高く、神経病理学的変化の影響を統計学的に補正した後でも、認知機能の低下速度が緩やかだった。 Zammit氏は、「生涯を通じて多様な知的活動に継続的に取り組むことが、認知機能の維持に影響を与える可能性があることを示したこれらの結果には励まされる。公的投資により図書館や幼児教育プログラムなどの学ぶ楽しさを育む環境へのアクセスを拡大することは、認知症の発症を減らす一助になるだろう」と述べている。(HealthDay News 2026年2月18日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/want-to-preserve-brain-health-engage-in-a-lifetime-pursuit-of-knowledge-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Leonid Iastremskyi/Adobe Stock