健康意識の高い人は、ウォーキングやジョギングの前に手首にFitbitを装着したり、ベルトに歩数計を付けたりすることが習慣になっている。しかし、追加の装置を用意しなくても歩数の測定や身体の動きの追跡が可能な「スマートウェア」の実現につながる新たな研究結果が明らかになった。現在使用されている肌に密着させるセンサーよりも、ゆったりとした衣服に取り付けた小型センサーの方が、身体の動きを正確に記録できることを突き止めたという。英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)工学分野のMatthew Howard氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Communications」に1月20日掲載された。 Howard氏は、「手首に付けるFitbitや、コンピューターで生成された映像のキャラクターを演じる俳優が着るスーツのような、動作追跡技術で最も正確な結果を得るには、センサーを身体に密着させる必要があると考えられてきた。センサーが密着していないとデータにノイズが含まれる、あるいは雑然としたものになるというのが一般的な考え方だった」と話す。 Howard氏らは今回の研究で、ゆったりとした衣服にセンサーを取り付け、人間とロボットに多様な動作を行わせて得られたデータを解析し、その動作認識能力および動作予測能力を、従来のようにセンサーを腕や脚に直接装着する方式と比較した。その結果、ゆったりとした衣服に取り付けられたセンサーでは、体に装着されたセンサーと比べて最大40%迅速かつ高い精度で身体の動きを捉え、そのために必要なデータ量は約80%削減できることが明らかになった。 Howard氏らによると、ゆったりした布地は動きを検知しやすくする「機械的増幅器」のように機能し、気付くのが難しいレベルのかすかな動きの違いも識別できることが分かったという。Howard氏は、「腕を動かし始めると、腕を緩やかにまとう袖は、一定の形が維持されずに、折れ曲がったり、波打ったり、複雑に揺れ動いたりする。身体に密着したセンサーよりも動きに対して繊細に反応するのだ」と同氏は説明する。 KCL解剖学・生体力学分野のIrene Di Giulio氏は、「手首にしっかりと巻き付けたリストバンドの場合、患者の動きが小さ過ぎて捉えられないことがある。そのため、パーキンソン病などの疾患が患者の日常生活にどのような影響を与えているのかについて、常に最も正確なデータが得られるわけではない。今回検討したアプローチでは、人の動きを『増幅』させることができるため、通常の障害のない身体の動きと比べて小さな動きでも検知できるようになる」とニュースリリースの中で述べている。 Di Giulio氏はまた、「この技術によって、自宅や介護施設などの慣れた環境の中で、普段着で過ごしている人の動きを追跡することができるようになるだろう。それにより、医師が患者をモニタリングしやすくなるだけでなく、医学研究者によるパーキンソン病などの疾患の解明や、こうした障害に対応するウェアラブル技術を含む新たな治療法の開発に不可欠なデータを収集しやすくなる可能性がある」と期待を示している。 さらにHoward氏は、「こうした動作追跡装置は、より高性能のロボットの開発にも活用できる。ロボット工学研究の多くは、人間の行動を学習し、それをロボットが模倣することを目的にしている。そのためには、普段の人間の動きから膨大なデータを収集する必要がある。しかし、伸縮性のある素材でできたボディスーツを着て日常生活を送りたいと思う人は多くはないだろう」と同氏は述べている。 その上でHoward氏は、「今回の研究は、普段着に目立たないセンサーを取り付けることで、ロボット工学の領域に革命をもたらすために必要な、世界中の人の動作データを収集できる可能性を示している」と述べている。(HealthDay News 2026年2月18日) https://www.healthday.com/health-news/health-technology/smart-clothing-the-next-frontier-in-fitness-tracking-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock