心臓弁置換術を受ける一部の患者は日帰り手術できる可能性のあることが、新たな研究で示された。経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)の実施日に退院した患者と、健康状態の懸念から入院継続となった「同日退院の適格者」との間で、予後に差は認められなかったという。英ジェームズ・クック大学病院の循環器専門医であるKrishnarpan Chatterjee氏らによるこの研究は、欧州心臓病学会(ESC)の部会の一つであるEuropean Association of Percutaneous Cardiovascular Interventions(EAPCI)が主催する「EAPCI Summit 2026」(2月19〜20日、ドイツ・ミュンヘン)で発表された。 TAVIは、鼠径部の大腿動脈からカテーテルを挿入し、大動脈弁部まで進めて人工弁を留置する治療法である。Chatterjee氏は、「TAVI後の翌日退院は、技術の進歩やケアパスウェイ(ケアの計画)の効率化によって、近年広がりつつある。同日退院は、その次のステップだ。これは、厳密な基準で選ばれた患者においては安全であることが示されている」と述べている。 この研究では、2018年6月から2024年12月までの間にTAVIを受けた790人の患者の記録を調査した。このうち279人(35.3%)は、初期スクリーニングで、重度の末梢血管疾患がなく、すでにペースメーカーを植え込み済みか心拍リズムが正常で、手術当日の夜に自宅でのサポートが確保できることから、同日退院の適格基準を満たす患者と判断された。しかし、実際に予定通りに同日退院できたのは160人(57.3%)にとどまり、残りの患者は、不整脈、血管の問題、その他の健康上の理由で、医師により入院継続と判断された。同日退院した患者の平均年齢は80.4歳で、40%が女性であった。 同日退院群と入院継続群の臨床アウトカムを比較した結果、30日以内の死亡率は、同日退院群で1.8%、入院継続群で0.8%、30日以内の再入院率はそれぞれ4.4%と9.2%であり、いずれについても両群間に統計学的な有意差は認められなかった(P=0.472、P=0.102)。 Chatterjee氏は、「患者を慎重に選定すれば、TAVIを受けた患者の約5人に1人が、合併症リスクを増加させることなく安全にその日のうちに退院できることが示された。同日退院により、入院に伴う感染症やせん妄といった合併症のリスクが低下するため、この結果は患者にとって重要だ。また、医療資源の使用の削減にもつながる。同日退院に関するさらなる研究が必要だ」と述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2026年2月23日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/same-day-discharge-safe-for-some-heart-valve-replacement-patients Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: buritora -- Adobe Stock