古代中国発祥の心身の健康法である八段錦に、薬物療法や速歩プログラムに匹敵する降圧効果があることを示唆する臨床試験の結果が報告された。八段錦は構造化されたゆっくりとした動きと深い呼吸、瞑想を組み合わせた8つの動作で構成された健康法で、多くの人々に親しまれている。この結果を報告した心血管疾病国家重点実験室(中国)予防医学部門長のJing Li氏らによると、八段錦を続けた人では、収縮期血圧(SBP)が平均約3〜5mmHg低下し、その効果は速歩プログラムの実施と同程度であったという。この研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に2月18日掲載された。 研究グループによると、八段錦は、気功の中でも最も一般的に実践されている形式の一つで、その動きは太極拳に似ている。通常の一連の動作は10〜15分ほどで終わり、特別な器具は必要なく、最初に最小限の指導を受けるだけで実践できる。Li氏は、「その簡便さ、安全性、そして長期にわたる継続のしやすさを考えると、血圧を低下させようとしている人にとって八段錦は効果的で利用しやすく、大規模に適用可能な生活習慣介入法になり得る」とニュースリリースの中で述べている。 Li氏らは今回、40歳以上の高血圧患者216人(平均年齢57.3歳、女性64.8%)を試験に登録し、52週間にわたり3種類の介入群のいずれかにランダムに割り付けた。3種類の介入法とは、1)約15分間の八段錦を1日2回、週に少なくとも5日実施する群(108人)、2)1日30分の速歩を週に少なくとも5日実施する群(54人)、3)中強度の運動を週150分以上行うことを目標に、各自で好きな身体活動を実施する群(54人)であった。 その結果、八段錦群では24時間自由行動下血圧測定によるSBP値が12週目で3.1mmHg(95%信頼区間−5.9〜−0.2、P=0.036)、52週目で3.3mmHg(同−6.3〜−0.3、P=0.031)低下し、診察室で測定したSBP値が約5mmHg低下したことが明らかになった。52週目でのSBPの低下幅に、八段錦群と速歩群の間で統計学的に有意な差は認められなかった(−0.7mmHg、95%信頼区間−3.9〜2.6、P=0.683)。Li氏らによると、この結果は、一部の第一選択降圧薬に期待できる効果とも同程度であるという。 この臨床試験には関与していない米イェール大学医学部教授でJACCエディターのHarlan Krumholz氏は、「八段錦の降圧効果は、降圧薬のランドマーク試験で確認されている効果量と同程度であるが、薬を使わず、費用もかからず、副作用も伴わずにそれが達成された」とニュースリリースの中でコメントしている。 なお、自主的な運動を行った群での血圧値の改善はわずかであり、同群と比べて八段錦がもたらした結果の方が優れていた。Krumholz氏は、「八段錦は、中国で800年以上にわたって実践されてきた。今回の臨床試験では、古くから伝わる身近で低コストのアプローチが、質の高いランダム化比較試験によっていかに実証可能であるかを示している」と述べている。(HealthDay News 2026年2月19日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/ancient-chinese-practice-lowers-blood-pressure-as-well-as-medications-walking-program-clinical-trial-shows Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: yaroslav astakhov -- Adobe Stock