今日の食卓に並んでいるものが、高齢になったときの脳の老化に影響を与える可能性があるようだ。中年期に健康的な食事をしている人では高齢期に認知機能が低下するリスクが低いことが、新たな研究で示された。米ハーバードT.H.チャン公衆衛生大学院疫学・栄養学分野のKjetil Bjornevik氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Neurology」に2月23日掲載された。 Bjornevik氏らは、「野菜や魚を豊富に、ワインは適量を摂取することは、認知機能低下リスクの抑制に寄与していた一方、赤肉や加工肉、フライドポテト、糖分の多い飲料は認知機能の低下に関連していた。この結果は、健康的な食事が将来の脳の健康に有益である可能性を示唆している」と述べている。 今回の研究では、米国の女性看護師と男性医療従事者を対象に、健康状態を生涯にわたって追跡した3件の大規模研究のデータを統合し、合計で15万9,347人(平均年齢44.3歳、女性82.6%)を対象に解析が行われた。Bjornevik氏らは、各参加者の食事内容を調べ、心臓の健康に良いとされるDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食、健康的な植物性食品ベースの食事指数(Healthful Plant-Based Diet Index;hPDI)、プラネタリーヘルスダイエット指数(Planetary Health Diet Index;PHDI)、代替健康食指数(Alternative Healthy Eating Index 2010;AHEI-2010)など、6種類の健康的な食事法の遵守度をスコア化した。その上で、同スコアと高齢期の自己申告に基づいた主観的な認知機能低下との関係を調べた。 その結果、脳の健康を守る効果が最も高いのはDASH食であることが示された。具体的には、DASH食の遵守度が上位10%の人では下位10%の人と比べて、認知機能低下のリスクが41%低かった(リスク比0.59、95%信頼区間0.57〜0.62)。特に、45~54歳の時点でDASH食の遵守度が高いことは、認知機能低下リスクが低いことと最も強く関連していた。また、血糖値や炎症の抑制を目的とした食事法も認知機能低下のリスクを下げることが示された。 45〜54歳の人で関連が最も強かった点について、今回の研究には関与していない米ノースウェル・ヘルスの管理栄養士であるStephanie Schiff氏は、「この年代の人は『年をとれば記憶力は衰えるし、頭の回転も鈍くなってぼんやりするものだ。それが老化現象であり、どうすることもできない』と思いがちだ。だからこそ、適切な食事法を守れば、あるいはDASH食に従えば、記憶力や認知機能、注意力、言語能力、実行機能を改善できる可能性があることを示したこのハーバード発の研究結果には心を躍らされる」と付け加えている。 本研究では、DASH食以外の健康的な食事法も認知機能低下のリスクを11~24%低下させることが示された。さらに、野菜、果物、魚、ワイン、紅茶、ドレッシングはいずれも良好な認知機能に関連していた一方、フライドポテト、赤肉や加工肉、卵、甘い飲み物、菓子類は認知機能の悪化に関連していた。 Schiff氏は、DASH食が脳に大きなメリットをもたらすことが示されたことに驚きはなかったと話す。「心臓の健康に良いDASH食に従った食事を摂取することには利点しかない。心臓を健康に保つことは、脳を健康に保つことにつながるからだ」と同氏は言う。 また、DASH食は血圧を下げることを重視しているが、このことが脳の老化に対する有益性の多くを説明している可能性があるとSchiff氏は考察している。高血圧は血管に損傷を与えるが、その中には脳に血液を送る血管も含まれる。「脳に十分な血液が送られなくなると酸素が不足し、脳細胞の損傷をもたらす。その結果、認知機能や記憶力の低下、さらにはアルツハイマー病のリスクが上昇する可能性がある」と同氏は説明している。(HealthDay News 2026年2月25日) https://www.healthday.com/health-news/nutrition/eating-healthy-in-middle-age-can-lower-risk-of-brain-decline-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Africa Studio/Adobe Stock