乳がんによる死亡は、不健康な生活習慣などの影響により、今後15年にわたって増加し続けることが、新たな研究で予測された。世界の乳がんによる死亡数は、2023年の76万4,000人から2050年には137万人に増加し、新規罹患数も増加が見込まれたという。米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)のKayleigh Bhangdia氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Oncology」3月号に掲載された。 Bhangdia氏は、「乳がんは、依然として女性の生活や地域社会に深刻な影響を及ぼしている。高所得国では、一般的に検診の普及や早期診断、包括的な治療戦略の恩恵を受けられる。しかし、乳がんの負担は現在、低所得国および低・中所得国へと移りつつある。これらの地域では、乳がんがより進行した段階で診断されるケースが多く、質の高い医療へのアクセスも限られているため死亡率も高い。そのことが、女性の健康分野で達成されてきた進歩を覆い隠してしまう恐れがある」と述べている。 今回の研究では、世界疾病負担研究(GBD)2023のデータを用いて、1990年から2023年までの204の国・地域の乳がんデータを解析し、それを基に2024年から2050年までの罹患者数と死亡数を推定した。 その結果、2023年には世界で約230万人が新たに乳がんと診断され、約76万4,000人が乳がんにより死亡したと推定された。また、2023年時点では、世界の乳がん負担の28.3%が、対策可能な6つのリスク要因と関連していることも明らかになった。それらは、赤肉の摂取(11%)、喫煙(8%)、高血糖(6%)、BMI高値(4%)、飲酒(2%)、運動不足(2%)であった。乳がんによる障害調整生存年(DALY)は約2410万に上ると推計された。 1990年から2023年の間に、低所得国では乳がんの年齢調整罹患率が147.2%増加し、同死亡率も99.3%増加していた。一方、高所得国では罹患率の変化は小さく、死亡率は29.9%低下していた。さらに、若年女性における乳がんの増加という懸念される傾向も明らかになった。1990年以降、20~54歳女性では新規乳がん罹患率が29%上昇した。一方、より高齢の女性では罹患率に大きな変化は見られなかった。ただし世界全体では、55歳以上の女性で診断される新規乳がんは、20~54歳女性の約3倍に上っていた。このほか、2050年までに女性の乳がん新規罹患数は世界で約356万人、死亡数は約137万人に増加することも予測された。 論文の上席著者であるシンガポール国立大学のMarie Ng氏は、「世界の乳がん負担の4分の1以上が、生活習慣の改善によって変えられる6つの要因に関連している。これは、次世代における乳がんリスクを変える大きなチャンスがあることを意味する」と述べている。同氏はさらに、「公衆衛生政策によって既知のリスク要因に対処し、より健康的な選択をしやすい環境を整えること、そして個人レベルで肥満や高血糖の改善に取り組むことが、世界的な乳がん増加を食い止める上で重要だ」と強調している。(HealthDay News 2026年3月3日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/breast-cancer-cases-deaths-expected-to-rise-worldwide Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock