抗コリン薬と呼ばれる一般的な薬剤の使用が、心不全などの重篤な心血管疾患のリスク上昇と関連する可能性が新たな研究で示された。抗コリン薬を最も多く使用していた人では、非使用者と比べて心血管イベントリスクが71%高かったという。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のHong Xu氏らによるこの研究の詳細は、「BMC Medicine」に2月28日掲載された。ただし、本研究は観察研究であり、抗コリン薬が心疾患を直接引き起こすことを証明したものではない。 抗コリン薬は、神経伝達物質のアセチルコリンの働きを抑える薬剤で、睡眠補助薬や抗ヒスタミン薬、尿失禁治療薬、一部の抗うつ薬などさまざまな処方薬や市販薬に含まれている。 今回の研究でXu氏らは、ストックホルム在住で主要な心血管疾患の既往がなく、2008年1月1日時点で45歳以上だった50万8,273人を対象とし、2021年12月31日まで心血管イベントの発生を追跡した。抗コリン薬の使用量(抗コリン負荷)は抗コリン薬認知負荷(Anticholinergic Cognitive Burden;ACB)スケールを用いて評価し、規定1日投与量(defined daily dose;DDD)に基づく年間使用量として定量化した。論文の筆頭著者である同研究所のNanbo Zhu氏は、「抗コリン薬を含有する薬剤の多くは、高齢者や複数の疾患を有する人に使用されている。そこでわれわれは、同薬の累積的な使用量が経時的に心血管疾患リスクに影響を及ぼすかどうかを調べたかった」と説明している。~ 追跡期間中央値14.0年の間に11万8,266件の心血管イベントが発生した。解析の結果、社会人口統計学的特徴、生活習慣、および臨床的リスク因子を調整した後も、抗コリン薬の使用量の増加は心血管イベントリスクの増加と有意に関連していた。具体的には、年間累積使用量が0DDDの群と比較して、365DDD以上の群ではリスクが71%、90~364DDDの群では31%、1~89DDDの群では16%高かった。同薬の使用量が最も多い群で特にリスクが高かった疾患は、心不全(ハザード比2.70)、不整脈(同2.17)、動脈疾患(同1.48)、心筋梗塞(同1.46)、静脈血栓塞栓症と脳血管疾患(いずれも同1.32)であった。 研究グループは、「抗コリン薬の累積負荷が、短期的だけでなく長期的にも心臓の調節機能に影響を与える可能性がある」との見方を示している。また、Xu氏は、「この結果は、これらの薬を常に避けるべきだということを意味するわけではなく、使用量を注意深く管理する必要があることを示している」と述べている。 さらに研究グループは、「抗コリン薬が心臓の健康に直接影響するかどうかを明らかにするには、臨床試験によるさらなる検証が必要だ」としている。(HealthDay News 2026年3月9日) https://www.healthday.com/health-news/drug-center/common-drug-class-shows-links-to-heart-risk-are-you-taking-one Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock