米食品医薬品局(FDA)がループス腎炎の治療薬として承認済みの静脈内(IV)投与薬が、全身性エリテマトーデス(SLE)患者の症状を大きく改善することが、第3相臨床試験で明らかになった。この試験では、1年間に及ぶオビヌツズマブ(商品名ガザイバ点滴静注)による治療を受けた患者の4分の3以上で、有意な症状改善が確認された。米ノースウェル・ヘルスのリウマチ学部門責任者であるRichard Furie氏によるこの研究結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に3月6日掲載された。 SLEは、免疫系が自分自身の体を攻撃してしまう自己免疫疾患であり、主に皮膚、関節、腎臓や心臓などの内臓が標的となる。研究グループによると、SLE患者数は世界で300万人以上に上る。その多くは女性で、15~45歳の間に診断される。オビヌツズマブはすでに、ループス腎炎の治療薬としてFDAに承認されている。この薬は、B細胞上に発現するタンパク質であるCD20に結合することでB細胞を減少させるモノクローナル抗体である。B細胞はSLEの原因となる自己抗体の産生に関わるため、その働きを抑えることで病勢の改善につながることが期待されている。 今回の臨床試験では、活動性SLEの成人患者303人を対象に、オビヌツズマブの安全性と有効性が検討された。患者は、初日と2、24、26週目にオビヌツズマブ(1,000mg)を静脈投与する群(151人)とプラセボを静脈投与する群(152人)にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、52週時点でSLE Responder Index 4(SRI-4)の基準を満たす「SRI-4レスポンダー」とした。SRI-4の基準は、1)SLEDAI-2K(Systemic Lupus Erythematosus Disease Activity Index 2000)スコアがベースラインから4点以上改善、2)BILAG(British Isles Lupus Assessment Group)2004 indexによる評価で悪化なし、3)医師の総合評価(PGA)で悪化なし、4)介入イベント(レスキュー治療の実施、重大な併用療法違反、死亡・有効性不十分・有害事象による早期中止)なし、を満たす場合と定義された。 その結果、52週目におけるSRI-4レスポンダーの割合は、オビヌツズマブ群で76.7%に上ったのに対し、プラセボ群で53.5%にとどまった。両群の差は23.1%(95%信頼区間12.5~33.6)であり、統計学的に有意であった(P<0.001)。さらに、52週時点での寛解(DORIS)の達成率も、オビヌツズマブ群35.1%、プラセボ群13.8%であり、オビヌツズマブ群がプラセボ群を上回った。さらに、再燃を経験した割合は、オビヌツズマブ群33.8%、プラセボ群48.7%であり、オビヌツズマブ群では再燃リスクが42%低いことが示された(ハザード比0.58)。一方で、重篤な副作用の発生率は、オビヌツズマブ群16.6%、プラセボ群13.9%で、オビヌツズマブ群の方がやや高かった。最も多かった有害事象は肺炎(2.0%)、上気道感染症・尿路感染症(いずれも1.3%)だった。 また、試験期間中に、オビヌツズマブ群では1人(0.7%)が軟部組織感染症および肺炎により死亡した。一方、プラセボ群では3人(2.0%)が死亡し、内訳は肺胞出血、敗血症を伴う心筋炎、SLEの再燃であった。研究グループは、SLEの活動性が他の死亡例にも関与した可能性は否定できないとしている。 Furie氏は、「今回の臨床試験は、SLE患者の治療において近年でも特に有力な後期段階試験の成功例の一つであり、B細胞を標的とする治療が疾患活動性を大きく低下させ得ることを示す重要な証拠となった」とコメントしている。同氏はさらに、「本試験により、より強力で持続的な病勢コントロールを、ステロイドへの依存を減らしながら実現できる可能性が見えてきた。こうした利点は、患者や医師、家族にとって非常に重要であり、オビヌツズマブによる治療はSLEの治療における重要な前進となるだろう」と語っている。(HealthDay News 2026年3月10日) https://www.healthday.com/health-news/skin-health/approved-iv-drug-reduces-lupus-symptoms-clinical-trial-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Vera/Adobe Stock