毎日マルチビタミン・ミネラル(MVM)を摂取することで得られる健康への効果は、老化の進み方にも及ぶ可能性があるようだ。新たな研究において、MVMを2年間摂取した高齢者では、生物学的老化における「wear and tear(体や遺伝子に蓄積していく摩耗や損耗)」の進行が遅くなる傾向が認められた。この効果は、研究開始時点ですでに老化が加速していた高齢者において顕著だったという。米マス・ジェネラル・ブリガムで予防医学部門副部長を務めるHoward Sesso氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に3月9日掲載された。 Sesso氏は、「現在、人々の関心は、単に長生きすることだけではなく、より良く生きることにも向けられている。MVMの摂取に生物学的老化の指標と関連する利益があることを示した本研究結果は、非常に興味深い。また、より健康で質の高い老化に寄与する、身近で安全な介入法をさらに探るための扉を開く結果でもある」とニュースリリースで述べた。 生物学的老化の検査では、日常生活による体の「wear and tear」が遺伝子、特にDNAメチル化に及ぼす影響を評価し、それに基づき生物学的年齢を推定する。生物学的年齢は、体の状態が暦年齢より若いか老いているかを示す指標である。 今回の研究では、958人(平均年齢70.2歳、女性50.3%)を対象に、MVMまたはココアから抽出されたフラバノール(500mg/日、以下、フラバノール)の摂取がDNAメチル化に基づく生物学的老化指標へ与える影響を検討した。対象者は、1)フラバノールとMVM、2)フラバノールとMVMプラセボ、3)フラバノールプラセボとMVM、4)フラバノールプラセボとMVMプラセボを摂取する群にランダムに割り付けられた。2年に及ぶ試験期間中に、研究グループは5種類のエピジェネティッククロックを用いて生物学的年齢を繰り返し評価した。 その結果、MVMの摂取は、第2世代のエピジェネティッククロック(PCPhenoAge、PCGrimAge)で、生物学的老化の進行を有意に抑制した。この効果は、試験開始時に生物学的老化が加速していた人で、より大きかった。第1世代の老化指標(PCHorvath、PCHannum)や老化速度を示すDunedinPACEでは、プラセボ群と比べて生物学的老化の進行速度を抑制する傾向は認められたものの、統計学的な有意差は認められなかった。一方、フラバノールの摂取は、いずれの生物学的老化指標にも影響を及ぼさなかった。 論文の共著者である米オーガスタ大学ジョージア医科大学内ジョージア予防研究所所長のYanbin Dong氏は、「今回検討された5種類のエピジェネティッククロックに加え、今後追加される指標を用いても、同様の生物学的老化の遅延が試験終了後も持続するのかを明らかにするため、追跡研究を計画している」と述べている。 また研究グループは、MVMがなぜ老化の進行を遅らせ得るのかについて解明するためにさらなる研究が必要だとしている。Sesso氏は、「多くの人が、必ずしも具体的な利益を理解しないままMVMを摂取している。したがって、その潜在的な健康効果に関する知見は、できるだけ多く得られることが望ましい」と語っている。(HealthDay News 2026年3月10日) https://www.healthday.com/health-news/senior-health/daily-multivitamins-slow-aging-clinical-trial-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock