問題ばかり起こす人と一緒に過ごすことは、単に気分を台無しにするだけではないかもしれない。最近の研究によると、そのようなストレスの多い人間関係は、時間の経過とともに健康に影響を及ぼし、さらに生物学的老化の進行を早める可能性が示された。米国立老化研究所の資金提供を受けて、米インディアナ大学社会学教授のBrea Perry氏らが実施したこの研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に2月18日掲載された。 人に面倒やストレスをもたらす人のことを、英語では「hassler(ハスラー)」と呼ぶ。Perry氏らは今回、米国インディアナ州で行われた健康調査に参加した18~103歳の2,345人(平均年齢46.24歳)のデータを用いて、ハスラーとの関係が健康や生物学的老化にどう関係するかを調査した。参加者の生物学的年齢は、唾液からDNAメチル化を測定し、エピジェネティッククロック(age-accelerated GrimAge2、DunedinPACE)を用いて評価した。GrimAge2は生物学的老化がどれくらい進んでいるか、DunedinPACEは生物学的老化がどれくらいの速度で進んでいるかを反映する指標である。また、参加者の社会的ネットワークの中にいる人のうち、その人を「頻繁に」困らせる人をハスラーと見なした。参加者のネットワークの構成人数は平均5.07人(最大25人)で、その中に平均0.43人のハスラーがいた。 解析の結果、ハスラーが1人増えるごとに老化速度が約1.5%速くなることが示された。これは、暦年齢で1年進む間に生物学的年齢が1.015年進むことを意味する。この影響が累積すると、10年間で約1.8カ月分の生物学的老化の進行に相当する。また、生物学的年齢の加速についても、ハスラーが1人増えるごとに生物学的年齢が約9カ月高いことも推定された。 論文の上席著者であるPerry氏は、「生物学的老化の観点では小さな影響でも、積み重なれば大きくなり得る」とワシントン・ポスト紙に語っている。 ただし、研究グループは、この研究はハスラーの存在が老化を引き起こすことを証明したわけではないと強調している。論文の筆頭著者で、米ニューヨーク大学社会学教授のByungkyu Lee氏は、「ハスラーが実際に老化を引き起こすのかどうかは分かっていない。今回観察されたのは、ハスラーが身近にいることと老化速度との間に関連が見られたという点だ」と述べている。 またこの研究では、ハスラーがネットワーク内にいると報告する傾向が高い人についても明らかになった。例えば、女性は男性よりも、ハスラーが身近にいると答える割合が高かった。この結果について検討した米テキサス大学オースティン校のDebra Umberson氏は、「全く驚きはない」と話す。同氏によると、これまでの研究でも、女性は良くも悪くも人間関係の影響を男性より強く受けやすいことが示されているからだ。 さらに、健康状態があまり良くない人や、幼少期に困難な経験をしてきた人ほど、ハスラーが身近にいると報告する傾向が強かった。また、そうしたハスラーの多くは家族であり、親や子どもがストレスの原因として挙げられることが多いことも分かった。 専門家によると、ハスラーに対する最も分かりやすい対処法は、常にストレスをもたらす相手との接触を減らすことだという。しかし、それが簡単でない場合も多い。家族や職場の同僚は、日常生活の中で接触が避けられない存在だからだ。Perry氏は、「私にとって重要なのは、境界線を引くことだ。その人があなたに生物学的な悪影響を及ぼす可能性があると分かったら、その人との関係にどれだけ労力を注ぐかに上限を設けるべきだ」と助言している。また専門家は、支えや安心感を与えてくれる人と過ごす時間を増やすことも勧めている。(HealthDay News 2026年3月9日) https://www.healthday.com/health-news/longevity/that-stressful-person-in-your-life-might-be-aging-you-faster-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock