短時間だけ音楽を聴くことが不安の軽減に役立つ可能性が、新たな臨床試験で明らかになった。試験では、脳活動に影響を与えることを目的とした音のパターンである聴覚ビート刺激(ABS)を組み合わせた音楽を24分間聴くことが、不安症状の軽減に最も効果的であることが示されたという。トロント・メトロポリタン大学(カナダ)心理学教授のFrank Russo氏らによるこの臨床試験の詳細は、「PLOS Mental Health」に1月21日掲載された。この臨床試験では、先行研究で確認された、音楽にABSを組み合わせた(音楽+ABS)介入による追加の不安軽減効果が再現されるか、また、音楽+ABSの効果が最大となる聴取時間がどの程度かが検討された。対象は、中等度の不安を抱える成人144人(19〜73歳、平均年齢37.6歳)で、全参加者が、不安症状を管理するための薬剤を使用していた。参加者は、1)ピンクノイズを24分間聴く群(対照群)、2)音楽+ABSを12分間聴く群、3)音楽+ABSを24分間聴く群、4)音楽+ABSを36分間聴く群のいずれかに割り付けられ、介入の前後に不安と気分の評価を受けた。なお、ピンクノイズは広い周波数帯域にわたる「ザー」という連続音で、リラックス効果があるとされている。主評価項目は状態不安の変化とし、STICSA(State-Trait Inventory for Cognitive and Somatic Anxiety)を用いて評価した。また、副次評価項目は感情(ポジティブ感情およびネガティブ感情)の変化とし、PANAS(Positive and Negative Affect Scale)を用いて評価した。その結果、24分間の音楽+ABS介入は、ピンクノイズ介入と比較して、認知的不安および身体的不安を有意に低減し、先行研究の結果が再現された。感情については、ポジティブ感情は先行研究の結果と一致せず、いずれの介入でも低下が認められ、群間差も認められなかった。一方、ネガティブ感情は音楽+ABS介入により有意に低減し、先行研究とは異なる結果が示された。さらに、音楽の聴取時間に着目すると、不安はいずれの条件でも有意に低減し、特に24分の音楽+ABS介入の低減効果が最大であることが示された。ネガティブ感情については、36分の音楽+ABS介入で最大の低減効果が認められ、聴取時間の増加に伴う用量反応関係が示唆された。ポジティブ感情には、そのような傾向は認められなかった。Russo氏は、「今回の臨床試験では用量反応関係が認められ、24分間の音楽+ABSが最適な長さであると考えられた。この長さは、不安レベルの意味のある改善をもたらすには十分でありながら、まとまった時間の確保を強いるものではない」とニュースリリースで付け加えている。研究グループによると、不安を抱えている人は世界で数百万人に上るとされる。不安に対する一般的な治療法は薬物治療や心理療法だが、これらには時間や費用がかかり、副作用を伴うこともある。一方、音楽を用いたツールは、人々の症状の管理を助けるシンプルで低コストの方法となり得ると研究グループは述べている。(HealthDay News 2026年3月17日)https://www.healthday.com/health-news/mental-health/listening-to-music-for-24-minutes-may-ease-anxiety-study-findsCopyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock