化学療法誘発性血小板減少症(CIT)は、抗がん剤が血小板を産生する骨髄細胞を破壊することで発生し、重篤な出血リスクを高める。しかし、新たな臨床試験で、すでに承認されている注射薬のロミプロスチム(商品名Nplate、日本での商品名ロミプレード)が、骨髄の血小板産生能力を高めることで、化学療法による血小板減少を防ぐ可能性のあることが明らかになった。米マサチューセッツ総合病院ブリガムがん研究所の血液内科医であるHanny Al-Samkari氏らによるこの第3相試験の結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に3月11日掲載された。Al-Samkari氏は、「この研究は、約10年をかけて進められてきたものであり、極めて重要だ。なぜなら、CITに対して承認された治療薬は現時点では存在せず、それが患者の重篤あるいは致命的な出血リスクを著しく高めているからだ」と述べている。ロミプロスチムは、免疫系の異常による血小板減少症の治療薬として、2008年に米食品医薬品局(FDA)により承認された。現時点で、同薬のジェネリック医薬品は存在しない。今回の研究では、世界14カ国の大腸がん、胃食道がん、および膵がん患者165人(年齢中央値63歳)を対象に、CITに対するロミプロスチムの有効性が検討された。患者のうち109人はロミプロスチムを投与する群、56人はプラセボを投与する群に、2対1の割合でランダムに割り付けられた。主要評価項目は、化学療法の2サイクル目および3サイクル目において、CITによる化学療法の投与量の調整(減少、延期、投与見送り、中止)が行われなかったこととした。その結果、CITによる化学療法の投与量の調整が行われなかった患者の割合は、ロミプロスチム群で84%(92/109人)、プラセボ群で36%(20/56人)と、ロミプロスチム群の方が統計学的に有意に高かった。オッズ比は10.16、リスク比は2.77で、いずれもP<0.001であった。ロミプロスチムに関連する主な副作用として、両群とも2%に悪心、ロミプロスチム群の2%に頭痛が生じたが、いずれも重篤ではなく、薬剤や化学療法の中止に至るものではなかった。より重篤な有害事象は、ロミプロスチム群で37%、プラセボ群で22%に認められた。研究グループによると、これは、主に化学療法自体の副作用を反映したものであり、ロミプロスチム群ではより高用量の化学療法が実施できたことが背景にあると説明している。これまで医師は、患者の命を脅かす出血を防ぐために、抗がん剤の投与量を減らしたり、治療を遅らせたりせざるを得なかった。Al-Samkari氏は、「他の研究から、化学療法の強度を下げることは、全生存期間の短縮や治癒率の低下など、がん治療の成績悪化につながることが分かっている。そのため、ロミプロスチムによって予定通りに十分量の化学療法を実施できるようになれば、患者の生存期間延長につながることが期待される」と述べている。(HealthDay News 2026年3月17日)https://www.healthday.com/health-news/cancer/drug-protects-against-chemo-caused-bleeding-trial-showsCopyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock