がん患者に対する化学療法は、病院や治療施設で長時間をかけて、点滴で薬剤を静脈に投与するのが通常である。しかし、米メイヨー・クリニック総合がんセンターのRoxana Dronca氏らによる新たな研究で、一部の患者では、自宅でも化学療法を安全に実施でき、患者の負担や煩わしさを大幅に軽減できる可能性が示された。この研究結果は、「NEJM Catalyst」4月号に掲載された。Dronca氏は、「がん治療は従来、患者が長時間にわたり点滴センターで過ごすことを必要としてきた。しかも多くの場合、その場所は自宅から遠く離れている。在宅化学療法により、高品質な医療を患者のもとへ安全に届けることが可能となり、患者がメイヨー・クリニックに期待する水準を維持しつつ負担を軽減できるようになる」とニュースリリースで述べている。このパイロット研究では、さまざまな固形がん患者10人(65歳以上が80%)を対象に6カ月以上にわたり在宅化学療法を実施した。患者は、1人当たり5〜16回(総計93回)の抗がん剤の静脈内投与を自宅で受けた。患者はオンライン診療および遠隔モニタリングを通じて、常時、がん医療チームと接続された状態を維持した。その結果、在宅化学療法は安全かつ有効に実施可能であり、治療関連の点滴反応(抗がん剤投与後24時間以内)やカテーテル関連感染は認められなかった。10人中6人(60%)が6カ月以上の在宅化学療法を完了し、そのうち4人は6カ月以降も継続を希望した。4人は在宅化学療法を早期に中止したが、その理由は、自宅では実施できない別の化学療法レジメンへの変更が必要になったためであった。試験期間中に、医療機関での治療への変更を希望した患者はいなかった。経験や満足度に関する調査に回答した全ての患者が遠隔診療に対して高い満足度を示し(6/6人)、ケアチームにより感情面で支えられたと回答した(7/7人)。さらに、71%(5/7人)は他の人にも在宅化学療法を勧めると回答した。研究グループによると、在宅化学療法は治療に伴う身体的・精神的・経済的負担の軽減に寄与する。なぜなら、患者は通院の必要がなくなり、日常生活への支障も少なくなるためだ。Dronca氏は、「この治療アプローチは、単なる利便性の向上にとどまらない。治療中の生活の質(QOL)を改善し、従来のがんセンターにアクセスすることが困難な患者に対する医療提供の拡大にもつながる」と述べている。メイヨー・クリニックは現在、2023年8月に開始した本パイロット研究に続く本格的な臨床試験を実施中である。(HealthDay News 2026年3月27日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/at-home-chemotherapy-is-safe-feasible-pilot-study-indicates Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Seventyfour/Adobe Stock