若手医師の間で、電子カルテ業務の過剰負担がバーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクを高めていることが、新たな研究で明らかになった。家庭医療レジデントの約3分の1が、「パジャマタイム」と呼ばれている勤務時間外に3時間以上かけて外来電子健康記録(EHR)の作業を行っており、こうした時間外の作業に費やす時間が長いほど、試験の成績が低く、バーンアウトのリスクが高まり、仕事への満足度は低下する傾向が認められたという。米イェール大学医学部のWendy Barr氏らによるこの研究は、「Academic Medicine」3月号に掲載された。Barr氏は、「われわれは、EHRの作業に多くの時間を費やしているレジデントは、読書や振り返り、学習にあてる時間が少なくなり、その結果、試験の成績に影響が出るのではないかと考えていたが、関連の強さや明確な用量反応関係が認められたことには驚いた」とニュースリリースで述べている。この全国規模の研究では、研修2年目以上の家庭医療レジデント9,731人を対象に調査を実施し、勤務時間外のEHR業務と、バーンアウト、仕事への満足度、医療知識との関連を検討した。パジャマタイムは、勤務時間外に外来EHR業務に平均3時間以上を費やす場合を「高パジャマタイム」と定義した。パジャマタイムに行う作業には、検査結果や画像の確認、患者からのメッセージ対応、記録業務の遅れの補完などが含まれる。Barr氏は、「バーンアウトの評価には、2項目の簡易スクリーニングツールを用いた。これは、過去2週間における情緒的消耗と脱人格化(患者に対して冷淡・無関心などの態度をとる状態)の発生頻度を尋ね、いずれかが週1回以上あればバーンアウトと判定した」と説明している。調査は、主にレジデントを対象に行われる到達度評価試験であるIn-Training Examination(ITE)後に米国家庭医療専門医認定委員会により実施され、回答率は99.1%と非常に高かった。その結果、レジデントの約3分の1(32.3%、3,124人)が、勤務時間外に平均3時間以上を電子カルテ業務に費やしていることが明らかになった。こうした「高パジャマタイム」は、年齢が高めの人、女性、医学分野における過少代表集団に属する人、海外医学部出身者で多く見られた。これらの因子を調整して解析した結果、高パジャマタイムは、バーンアウトのオッズを61%増加させるとともに(オッズ比1.61)、試験の成績が低くなるオッズを28%増加させることが示された(同1.28)。一方で、職業満足度は39%、研修プログラム満足度は38%低い傾向が見られた(オッズ比はそれぞれ0.61、0.62)。Barr氏は、「外来に出る時間が長いほど、パジャマタイムも増える傾向がある。これはシステム上の問題があることを示している」と指摘している。さらにBarr氏は、こうした書類業務の負担によってバーンアウトが進めば、有望な若手医師が医療現場を離れる可能性があり、米国の医療体制にとって損失になりかねないと警鐘を鳴らす。その上で同氏は、「レジデントの段階でパジャマタイムが長い人は、将来、フルタイムで働き続ける可能性が低くなるだろう。それは医療人材の問題にもつながる。研修プログラムとして、これを測定し、早期に対策を講じるべきだ。これは、単に記録業務や効率の問題ではない。医師が生涯にわたって持続可能な働き方を築けるよう支援することが重要なのだ」と主張している。(HealthDay News 2026年3月30日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/electronic-paperwork-increasing-burnout-risk-among-young-doctors Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Dmytro Sheremeta/Adobe Stock