健康のために、長時間の運動は必ずしも必要ないようだ。新たな大規模研究で、毎日、ほんの数分でも強めの運動を取り入れるだけで、主要心血管イベント(MACE)や心房細動、2型糖尿病などの慢性疾患リスクを下げるのに役立つ可能性が示された。中南大学(中国)湘雅公衆衛生学院のMinxue Shen氏らによるこの研究結果は、「European Heart Journal」に3月29日掲載された。運動時間が同じである場合、高強度の運動は中強度の運動よりも健康効果が高いことが知られている。しかし、高強度の運動がさまざまな慢性疾患にどの程度の効果があるのか、また、運動の強度と量のどちらが重要なのかは明確になっていない。Shen氏らは今回、UKバイオバンク参加者を対象に、総運動量に占める高強度運動の割合(%VPA)と8種類の慢性疾患および死亡との関連を検討した。参加者のうち9万6,408人(平均年齢61.9歳、女性56.3%)の運動量はデバイスで測定されており、37万5,730人(自己申告群、平均年齢56.2歳、女性52.2%)は自己申告により運動量が報告されていた。慢性疾患は、MACE、心房細動、2型糖尿病、免疫介在性炎症性疾患、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)、慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病(CKD)、認知症を対象とした。デバイス測定データのある参加者の追跡期間中央値は8.8~8.9年で、この間にMACEが9,366件、心房細動が4,123件、2型糖尿病が2,210件、免疫介在性炎症性疾患が1,721件、MASLDが1,706件、慢性呼吸器疾患が2,873件、CKDが2,565件、認知症が942件、死亡が4,219件発生した。解析の結果、%VPAの増加に伴い全ての慢性疾患リスクが低下する非線形の逆相関が認められた。この関連は、総運動量で調整後も一貫していた。また、%VPAが4%超の群では0%の群と比較して、慢性疾患のリスクが約29%(心房細動、ハザード比0.708)~63%(認知症、同0.368)低かった。さらに、関節リウマチや乾癬などの免疫介在性炎症性疾患では、運動強度が特に重要で総運動量の影響は小さい一方、2型糖尿病やMASLD、CKD、全死因死亡では、総運動量と運動強度の両方が疾患リスクに比較的バランス良く寄与していることが示された。Shen氏は、「高強度の運動は、低強度の運動では十分に得られない、体内の特定の反応を引き起こすようだ」と話す。同氏によると、息が上がる程度の運動は、心臓の働きを効率化し、血流を改善し、炎症を抑えるのに役立つという。また、脳の健康にも良い影響を与える可能性があり、これが認知症リスクの低下につながると考えられる。ただし、研究グループは、「高強度の運動は、特に高齢者や持病のある人にとっては安全とは限らない。その場合でも、運動量を少し増やすだけでも効果はある。それぞれの状況に合わせた運動が大切だ」と述べている。(HealthDay News 2026年3月31日 https://www.healthday.com/health-news/general-health/short-bursts-of-exercise-linked-to-lower-risk-of-major-diseases Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock