トップアスリートが脚や腕、肩に鮮やかな色のテープを貼った状態でスタートラインに立つ姿をよく見かける。このキネシオテープは、筋肉や関節の痛みを和らげ、可動域を広げることを目的として利用される。しかし、南方医科大学リハビリテーション医学院(中国)のXiaoyan Zheng氏らによる新たなレビューによると、キネシオテーピングの効果は限定的であり、得られる作用は主に、テープの効果を信じることに起因するプラセボ効果である可能性があるという。Zheng氏らは、「筋骨格系疾患に対するキネシオテーピングの臨床的な効果については、追跡期間の長さにかかわりなく、現時点のエビデンスは極めて不確実である」と結論付けている。詳細は、「BMJ Evidence Based Medicine」に3月31日掲載された。研究グループによると、1970年代に登場したキネシオテーピングは、痛みのある関節や筋肉にキネシオテープを貼ることで、皮膚が持ち上げられて神経を刺激し、局所の血行が促進されて、痛みが軽減し機能が改善すると考えられてきた。しかし、近年の臨床試験では一貫した結果が示されていないという。研究グループは今回、その全体像を把握するため、これまでに報告されているキネシオテーピングに関する128件のシステマティックレビューのデータを統合して解析した。これらのレビューに組み入れられた臨床試験の数は310件で、参加者数は1万5,812人であった。レビューの多くは、キネシオテーピングの脚や足に対する有用性(45%)、あるいは痛みの強さ(89%)に着目したものであった。その結果、キネシオテーピングは即時的および短期的に痛みの強度を軽減し、また、即時的に機能を改善する可能性が示唆された。しかし、これらのエビデンスの確実性は極めて低かった。中期的な痛み、短期・中期的な機能、および全ての追跡時点における筋力、関節可動域、疾患特異的症状については、ほとんど、あるいは全く効果が認められなかった。研究グループは、キネシオテーピングが一部の人々にもたらしている作用は、脳が身体にテープが有効であると錯覚させるプラセボ効果によるものである可能性があるとの見解を示している。また、筋肉や関節の障害のタイプが異なるさまざまな集団でキネシオテーピングの効果に違いがある可能性も考えられると研究グループは述べている。さらに、テープをどの程度の強さで貼れば最大の効果が得られるのかに関しても疑問が残っていると、今回のレビューは指摘している。研究グループは、「これまでのエビデンスでは、テンション(張力)なし、あるいは高いテンション(75%)よりも、低いテンション(25%)の方が痛みの軽減には適している可能性が示唆されている。しかし、臨床では、専門家の約75%が50%以上のテンションでキネシオテーピングを使用しており、そのことが効果に影響している可能性がある」と説明している。本研究には関与していないDonald and Barbara Zucker School of Medicine at Hofstra/NorthwellのAmy West氏は、「一般的に、可能な範囲で関節周囲の筋肉を強化することの方が、装具やテープのような身体の外側に装着するものに頼るよりも、関節の安定化には有効だ。こうしたものに依存してしまう可能性があるからだ」と述べ、キネシオテーピングより理学療法の方がより有益である可能性があると指摘している。また、腫れや痛みがある場合には、血行を改善することが示されている着圧ソックスや着圧スリーブの方が効果的な場合もあると同氏は付け加えている。(HealthDay News 2026年4月1日) https://www.healthday.com/health-video/exercise-and-fitness/kinesio-tapings-benefits-in-doubt-major-evidence-review-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: standret/Adobe Stock