肺がん検診で検出される異常の多くは無害で良性であるが、ごく一部には危険なものも含まれる。こうした中、新たな研究で、ロボット技術によりその異常が良性であるか悪性であるかを迅速かつ安全に識別できる可能性が示された。米メイヨー・クリニックの呼吸器・集中治療医であるSebastian Fernandez-Bussy氏らによるこの研究結果は、「Mayo Clinic Proceedings」4月号に掲載された。Fernandez-Bussy氏は、「肺がんの生存率は早期発見に大きく依存する。より早期に、かつ合併症の発生を抑えて診断・治療できる技術は、生存率の向上に寄与する可能性がある」と述べている。肺がんは通常、胸部CT検査で微小な結節として発見される。しかし、より危険な悪性結節と、はるかに一般的な良性結節をいかに識別するかが課題であった。疑わしい末梢肺病変の評価には、従来、CTガイド下経胸壁生検(CTTB)や気管支鏡生検が用いられてきたが、肺の構造上、ごく少量の組織しか採取できないことが多く、目的の組織を得るために複数回の挿入が必要であった。こうした状況下で導入されたのが、形状感知型ロボット支援気管支鏡検査(shape-sensing robotic-assisted bronchoscopy;ssRAB)である。ssRABは2019年に米食品医薬品局(FDA)の承認を取得している。この装置により、医師は1度の器具の挿入で生検に必要な数の肺組織サンプルを採取できるようになった。さらに、超音波気管支鏡(EBUS)を使用することで、縦隔リンパ節へのがんの広がりも同時に評価できる。加えて、高度な3D画像技術の導入により、生検をより高い精度で行えるようになっているという。Fernandez-Bussy氏は、「この技術は、肺がんの早期診断において画期的な変化をもたらした」とニュースリリースで述べている。本研究では、ssRABを用いた肺病変診断について、約5年間の実臨床データが解析された。データには、2019年7月から2024年8月の間にフロリダ州、アリゾナ州、ミネソタ州のメイヨー・クリニックの3施設でssRABを受けた1,904人の患者から採取された2,115個の肺病変のデータが含まれていた。その結果、2019年にssRABが導入された当時、原発性肺がんの診断例に占める早期段階のがんの割合は46%であったが、2024年半ばには68.9%へと増加した。一方、局所進行がんまたは転移がんの割合は、2019年の54%から2024年には31.1%へと減少した。ssRABの診断率は、厳密な定義では76.9%、やや緩い定義では80.2%であった。悪性腫瘍に対する感度は85.0%であった。さらに、研究グループによると、患者によっては、結節の評価および超音波気管支鏡ガイド下針生検による病期分類と同時に、治療も受けていた。ssRABでは、特に手術や放射線が難しい患者では、電気的に腫瘍を破壊する治療(パルスフィールドアブレーション)などが併用されるためである。論文の上席著者であるメイヨー・クリニックの胸部外科部長であるJanani Reisenauer氏は、「私はこれを『single anesthetic lung surgery pathway(単回麻酔で肺の診断から手術まで行う一連の診療フロー)』と呼んでいる。この治療法により、通院回数が減少し、家族と過ごす時間が確保され、回復も短縮される」と述べている。肺がんを早期に発見して治療することは、患者に大きな利益をもたらす。研究グループによれば、まだ転移していない小さな腫瘍の場合、5年生存率は67%であるのに対し、転移した腫瘍では12%にとどまる。(HealthDay News 2026年4月6日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/new-technologies-make-lung-cancer-diagnosis-treatment-quicker-and-safer Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock