高用量のインフルエンザワクチンは、高齢者におけるアルツハイマー病のリスクを低下させる可能性があるとする研究結果が報告された。高用量ワクチンを接種した高齢者は、標準用量ワクチン接種者と比べ、アルツハイマー病リスクが有意に低かったという。米国でのアルツハイマー病の患者数は2025年時点で700万人以上に上り、2050年までにこの2倍以上に増加すると予測されている。米テキサス大学ヒューストン健康科学センターの神経学教授であるPaul Schulz氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に4月1日掲載された。この高用量ワクチンは、標準用量の約4倍のインフルエンザウイルス抗原を含んでいる。これまでの研究でも、インフルエンザワクチンの接種は未接種と比べてアルツハイマー病リスクを約40%低下させることが示されていたが、本研究では、高用量ワクチン接種者では、標準用量接種者と比べてアルツハイマー病リスクが有意に低いことが示された。ただし、この高用量ワクチンの存在は、医療従事者を含め、まだ広く知られていないとSchulz氏は指摘している。同氏は、「医師である自分ですら、高用量ワクチンの存在を知らなかったことに驚いた」とニュースリリースで述べている。今回の研究では、高用量不活化インフルエンザワクチンを接種した12万775人の高齢者(平均年齢74.4歳、女性57.3%)と、標準用量不活化インフルエンザワクチンを接種した高齢者4万4,022人(平均年齢73.0歳、女性56.4%)を対象に、アルツハイマー病リスクを比較した。解析は、初回の接種群に基づいてその後の接種状況にかかわらず追跡するITT解析と、追跡中に他のインフルエンザワクチンを接種した場合に打ち切るPP解析の両方で行われた。その結果、高用量ワクチン接種群では標準用量接種群と比べて、PP解析では接種後1~25カ月、ITT解析では接種後1~28カ月においてアルツハイマー病リスクが有意に低いことが示された。25カ月時点では、PP解析では185人、ITT解析では270人に高用量ワクチンを接種するとアルツハイマー病の発症が1人減ると推定された。また、このリスク低下は女性でより長期間にわたり認められ、PP解析では1~13カ月、ITT解析では1~17カ月にわたり有意差が認められた。一方、男性では、ITT解析で17~24カ月においてのみ有意差が認められ、PP解析ではいずれの期間でも有意差は認められなかった。Schulz氏は、「本研究で、高用量ワクチンを接種した65歳以上の人を探し始め、最終的には数千人規模のデータを集めて、高用量と標準用量の接種効果を比較することができた。当然のことながらアルツハイマー病は加齢とともにリスクが高まるため、高齢者は検証に適しており、両者の違いを評価できた」と述べている。ただし、この研究では、なぜインフルエンザワクチンがアルツハイマー病のリスク低下に寄与するのかは解明されておらず、因果関係を直接示すものではない。研究グループは、ワクチンがなぜアルツハイマー病の予防に効果があるのか、またなぜ高用量の方がより有効なのかを明らかにするために、さらなる研究が必要だとしている。(HealthDay News 2026年4月7日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/could-a-high-dose-flu-shot-lower-your-alzheimers-risk Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock