高頻度に見られるタイプの不整脈である心房細動(AF)がある人では、たとえ無症状であっても心不全(HF)リスクが有意に上昇することが、新たな研究で示された。スクリーニングで無症候性AFが検出された患者では、AFがない人と比べてHFの発症リスクが約3倍高かったという。この研究結果は、欧州不整脈学会年次集会(EHRA 2026、4月12~14日、フランス・パリ)で発表された。この新たな知見は、AF患者におけるHFの早期発見と治療に役立つ可能性がある。本研究を主導したダンデリード病院(スウェーデン)の循環器専門医であるGina Sado氏は、「HFとAFは双方向の関係にあり、互いに進行を加速させる。そのため、AF患者では、HFを早期に見つけて治療につなげることが重要だ」とニュースリリースで述べている。AF患者において懸念される最も深刻な問題は脳卒中である。AFでは、心房の中で血流が滞って血栓が形成されることがあり、それが心臓から外に出て脳に到達すると、脳卒中が引き起こされる可能性があるのだ。一方で、AFはHFにも関連しているとSado氏らは指摘する。HFとは、心臓が、身体が必要とする血液を十分に送り出せなくなる状態である。Sado氏は、「臨床的に明らかなAF患者のHFについて、これまで研究が重ねられてきたが、スクリーニングでAFが検出された人でのHF発症の頻度や時期については、ほとんど分かっていない」と言う。この研究では、75~76歳の患者を、心電図(ECG)検査によるAFのスクリーニングを実施する群と実施しない対照群のいずれかにランダムに割り付けたスウェーデンの2件の臨床試験(STROKESTOP、STROKESTOP II)のデータを用いて、事後解析が行われた。STROKESTOPでスクリーニングを受けた6,824人のうち、252人でAFが検出され、中央値6.9年の追跡期間中に57人(23%)がHFを発症した。STROKESTOP IIでは、スクリーニングを受けた6,601人のうち152人でAFが検出され、中央値5.1年の追跡期間中に31人(20%)がHFを発症した。解析の結果、STROKESTOPでは、スクリーニングでAFが検出された参加者ではAFのない参加者と比べて、HFリスクが約3倍に高まることが示された(調整ハザード比3.19、95%信頼区間2.42~4.21)。このリスクは、既知のAF患者におけるHFリスクと同程度であった(同2.86、95%信頼区間2.34~3.50)。STROKESTOP IIの解析結果も同様であった。Sado氏は、「スクリーニングでAFが検出された人がHFを発症するリスクはAFがない人の約3倍であり、臨床的に診断されているAF患者と同程度であった。この結果は、無症候性AFが軽視できる状態ではないことを示唆するものであり、AFとHFの双方を早期に見つける必要性を明確に示している」と述べている。なお、学会発表された研究は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2026年4月15日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/silent-heart-rhythm-problem-might-triple-risk-of-heart-failure-in-seniors Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock