大規模なエビデンスレビューにおいて、アルツハイマー病治療薬として承認された、レケンビ(一般名レカネマブ)やケサンラ(一般名ドナネマブ)などの新規抗アミロイドβ抗体薬は、患者にとって臨床的に意味のある効果をもたらさないことが示された。抗アミロイドβ抗体薬は、アルツハイマー病患者の脳内に有害な凝集体を形成するタンパク質であるアミロイドβを標的とする。IRCCS Istituto delle Scienze Neurologiche di Bologna(イタリア)のFrancesco Nonino氏らによるこの研究の詳細は、「Cochrane Database of Systematic Reviews」に4月16日掲載された。本レビューでは、軽度認知障害(MCI)または軽度アルツハイマー型認知症患者を対象に、抗アミロイドβ抗体薬の効果を検討した17件のランダム化比較試験のデータ(対象者の総計2万342人)を統合して、同薬の臨床的有用性と有害性を解析した。対象とされた薬剤には、aducanumab、bapineuzumab、crenezumab、ドナネマブ、gantenerumab、レカネマブ、ponezumab、remternetug、solanezumabが含まれていた。その結果、抗アミロイドβ抗体薬による認知機能低下や認知症進行に対する効果は「認められないか、認められてもごくわずか」であり、臨床的有効性の基準を大きく下回ると結論付けられた。また、これらの薬剤は、脳の腫脹や出血といった危険な副作用リスクを増加させる可能性が高いことも指摘された。Nonino氏は、「残念ながら、エビデンスは抗アミロイドβ抗体薬を使用しても意味のある効果が得られないことを示している。現在では、これらの薬剤には臨床的に意味のある効果はないという結論を支持する、説得力のあるエビデンスが蓄積されている」とニュースリリースで述べている。同氏はまた、「初期の試験では統計学的に有意な結果が示されることもあったが、それと臨床的意義とを区別することが重要だ。統計学的有意差があっても、患者にとって意味のある差に結び付かないことは珍しくない」と話す。一方、米アルツハイマー病協会およびレケンビの製造販売元であるエーザイ株式会社は、承認に至らなかった抗アミロイドβ抗体薬のデータと、米国で承認された薬剤の研究データが不適切に統合されている点を問題視し、このレビューに異議を唱えている。エーザイ社はさらに、「米食品医薬品局(FDA)は、レカネマブが凝集したアミロイドβを標的とする次世代の抗アミロイドβ抗体薬の一つであり、過去の失敗を踏まえて開発されたものと位置付けている。最長4年間に及ぶ長期臨床データおよび世界中で数万人規模の実臨床経験から、レカネマブを投与された患者は、治療による利益を継続的に得ていることが示されている」との見解を示している。Nonino氏らは、抗アミロイドβ抗体薬は脳内のアミロイドβの除去には成功しているものの、それが患者の認知機能改善などの臨床的に意味のある効果には結び付いていないとしている。その上で同氏らは、「今後のアルツハイマー病研究は、アミロイドβ以外を標的とするべきだ。アミロイドβを標的とした試験から明確な利益が得られる可能性は低い」と提言している。(HealthDay News 2026年4月16日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/new-alzheimers-drugs-provide-no-meaningful-benefit-major-evidence-review-concludes Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock