片頭痛に悩む人は、睡眠・ストレス・食事などを記録していることが多いが、新たな研究によれば、大気汚染の状況にも注意を払う必要があるようだ。自動車の排気ガスや工場の煙などによる大気汚染は、特に特定の気象条件と組み合わさると、片頭痛発作の重要な誘因となる可能性が示された。ネゲヴ・ベン=グリオン大学(イスラエル)のIdo Peles氏らによるこの研究は、「Neurology」に4月15日掲載された。本研究では、イスラエル南部の片頭痛患者7,032人(平均年齢46.9歳、女性77.4%)を平均10.23年間追跡し、環境曝露と急性片頭痛発作との関連を検討した。環境曝露として、二酸化窒素(NO₂)やPM2.5などの大気汚染物質の濃度と、気温、湿度、日射量などの気象条件を日単位で評価し、これらのデータと片頭痛による病院・診療所の受診記録を照合した。加えて、受診前7日間の環境曝露や、四半期(3カ月間)単位での片頭痛薬(トリプタン系薬剤)の使用頻度についても分析した。データセット内で片頭痛関連救急受診が最も多かった日は、研究期間全体の平均と比較して大気汚染物質濃度が高値であった。一方、受診数が最も少なかった日には、これらの濃度は低値であった。解析では、発作当日の環境曝露と片頭痛関連救急受診の間に有意な関連が認められなかったため、発作前1週間の曝露(lag 1~7)が検討された。その結果、発作1日前(lag 1)のNO₂と太陽放射への曝露は片頭痛関連救急受診と有意に関連し、オッズ比はそれぞれ1.41(95%信頼区間1.13~1.77)と1.23(同1.07~1.42)だった。PM2.5曝露と片頭痛関連救急受診の間には、いずれのlagにおいても有意な関連は認められなかった。さらに、週単位の気象条件はこれらの短期曝露の影響を修飾しており、夏季の高温・低湿条件ではNO₂の影響が強まる一方、冬季の低温・高湿条件では、NO₂の影響は弱まりPM2.5の影響が強まることが示された。さらに、大気汚染物質への累積曝露量と片頭痛薬の使用頻度の関連を検討したところ、NO₂については直前四半期の曝露で使用頻度の10%増加(発生率比1.10、95%信頼区間1.00~1.21)、PM2.5については、直前四半期の曝露で使用頻度の9%増加(同1.09、1.00~1.19)と関連していた。論文の筆頭著者であるPeles氏は、本結果は片頭痛発作の発生メカニズムおよびタイミングの理解に寄与するとし、「これらの結果は、片頭痛が起こりやすい人では、環境要因が二つの役割を果たしている可能性を示唆している。中期的要因としては、熱や湿度が発作リスクに影響を及ぼし、短期的要因としては、大気汚染の急激な上昇が片頭痛発作の直接的な引き金となる可能性がある」と述べている。また本研究では、気象条件と大気汚染の間にも相互作用が認められた。この結果は、気候変動により熱波や砂嵐の頻度が増加することで、大気汚染が生じている地域では片頭痛の増加が起こり得ることを示唆している。Peles氏は、「気候変動により熱波・砂嵐・大気汚染イベントの発生頻度が増していることから、これらの環境リスクを片頭痛患者への指導に組み込む必要がある」と述べている。ただし研究グループは、本研究は、大気汚染が片頭痛発作を直接引き起こすことを証明するものではなく、あくまで一貫した関連性を示したに過ぎないとし、「今後は大気汚染曝露後の片頭痛の活動性をより正確に評価する追加研究が必要だ」と述べている。(HealthDay News 2026年4月16日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/air-pollution-and-weather-tied-to-migraines Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock