体重減少にGLP-1受容体(GLP-1R)作動薬は本当に必要なのか——人気の肥満症治療薬の前提となっている考え方の一つに疑問を投げかける、新たな減量アプローチに関する研究成果が報告された。マウスやラットを用いた初期段階のこの研究により、GLP-1Rではなく、GIPおよびグルカゴンの受容体(GIPR/GCGR)を標的とする薬剤でも、GLP-1Rと同等の体重減少効果が得られる可能性が示唆された。米インディアナ大学ブルーミントン校化学科のRichard DiMarchi氏らによるこの研究結果は、「Molecular Metabolism」に4月15日掲載された。DiMarchi氏はSTAT Newsの取材に対し、「われわれはGLP-1Rの重要性に強くとらわれてきた」と語った。一方、この新アプローチは、GLP-1Rを標的にしていない。同氏は、「われわれは、これを引き算による足し算と呼んでいる。つまり、何かを取り除くことで、より良い結果が得られる可能性があるということだ」と説明している。複数の受容体を標的とする多重作動薬は、肥満および2型糖尿病治療において高い有効性を示す薬剤クラスとして注目されている。例えばGIPR/GLP-1Rを標的とする二重作動薬であるチルゼパチドは、GLP-1R作動薬のセマグルチドと比較してより大きな体重減少効果を示している。さらに、レタトルチドのようなGIPR/GCGR/GLP-1R三重作動薬では、24%前後の体重減少が報告されている。一方で、GLP-1R作動薬は吐き気や嘔吐などの副作用を伴い、そのため使用可能な用量が制限されることがある。こうした背景から、GLP-1R作動薬を用いずに、GIPRおよびGCGRの活性化のみで肥満を改善できるかが検討されている。本研究では、GIPR、GCGR、GLP-1Rの選択的作動薬、二重作動薬、および三重作動薬が、食餌誘導性肥満マウス(野生型およびGLP-1R欠損マウス)における体重および血糖制御に与える影響が評価された。その結果、選択的GIPR作動薬と選択的GCGR作動薬を併用すると、肥満モデルマウスにおいて体重減少と血糖改善が認められた。また、GLP-1R/GIPR/GCGR三重作動薬のレタトルチド投与により、GLP-1R欠損肥満マウスの体重が正常化した。さらに、GIPR/GCGR二重作動薬BWB3054は、GLP-1Rに対する活性は100倍以上低いにもかかわらず、レタトルチドと同等レベルの環状アデノシン一リン酸(cAMP)を産生し、肥満モデルマウスにおいてもレタトルチドと同程度の体重減少効果を示した。安全性についても検討が行われた。サルを用いた試験では、高用量の新薬を投与しても苦痛の兆候は認められなかった。一方で、チルゼパチドなどの既存の薬剤では、サルでは高用量に対する忍容性が認められなかった。ただし、動物実験の結果がそのままヒトに当てはまるとは限らない。また、GLP-1R作動薬は、心血管系への有益な効果が知られているが、新たな薬剤が同様の効果を持つか否かについては不明である。本研究について、米ミシガン栄養肥満研究センターのディレクターであるRandy Seeley氏は、「この研究結果は有用で印象的だ。体重減少の仕組みについての新しい見方を提示している」と述べている。(HealthDay News 2026年4月17日) https://www.healthday.com/health-news/weight-loss/new-weight-loss-research-questions-need-for-glp-1-drugs Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock