目は心の窓であるだけでなく、その人の健康状態を映し出す窓でもある――そんな研究結果が発表された。この研究によると、網膜の早期老化は、糖尿病や心疾患といった重大な病気の兆候となる可能性があるという。東北大学大学院医学系研究科眼科学分野教授の中澤徹氏らによるこの研究結果は、「Communications Medicine」に4月8日掲載された。網膜は、眼球の奥にある光を感知する細胞層である。研究グループによると、網膜は血管や神経の状態を非侵襲的に観察できる部位であることから、眼の画像データを解析して全身の健康状態や疾患リスクを読み解く「オキュロミクス」と呼ばれる新たな研究領域が注目を集めている。今回の研究で中澤氏らは、健康診断で撮影された疾患のない2万7,214人の眼底写真5万595枚を用いて、「網膜年齢」を推定する人工知能(AI)モデルを開発した。モデルは年齢推定に加え、過去2〜3カ月間の平均的な血糖状態を反映するHbA1cを学習させるマルチタスク学習と、5つのAIモデルの予測結果を組み合わせて最終的な予測を行うアンサンブル学習を組み合わせる設計とした。その後、別の疾患のない成人から得られた7,288枚の眼底写真を用いて年齢予測能を検証した(内部検証)。モデルの性能は平均絶対誤差(実年齢と推定網膜年齢の平均誤差)を用いて評価された。その結果、内部検証での平均絶対誤差は2.78歳であり、独立した135眼の眼底写真を用いた外部検証での平均誤差は3.39歳、海外の外部集団4,992眼の眼底写真を用いた検証での平均誤差は8.63歳であった。また、5つのモデルの予測のばらつきが中央値より小さい場合には、年齢予測の精度が高くなる傾向が認められた。さらに、全身性疾患を有する8,467人のコホートにおいて、網膜年齢ギャップ(推定網膜年齢と実年齢の差)は、糖尿病、心疾患、脳卒中の既往がある人では有意に大きく、これらの疾患のある人では、網膜が実年齢より「老けて見える」可能性が示唆された。研究グループは、こうした画像のAI解析は、定期健診の中で病気の早期発見に役立つ可能性があるとしている。中澤氏は、「眼底画像は定期的な健康診断の一環として撮影される非侵襲的な検査であり、新たに何かをする必要はほとんどない。このAIモデルは、臨床現場の通常の診療フローにほぼそのまま組み込めるだろう」とニュースリリースで述べている。中澤氏はさらに、「現在、1万人以上を対象に3年間追跡するコホート研究を計画しており、網膜年齢に関する指標が将来的な心血管疾患やその他の全身疾患の発症と関連するかを検証する予定である」と述べている。(HealthDay News 2026年4月24日) https://www.healthday.com/health-news/eye-care/eye-photos-might-offer-early-warning-of-chronic-health-problems-ai-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock