手術前に、運動や栄養管理をベースにしたプレハビリテーションを実施することで、術後合併症のリスクが大幅に低下することが、新たな研究で明らかになった。そのようなプレハビリテーションを実施した患者では、術後の入院期間も半日程度短縮したという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デヴィッド・ゲフィン医科大学のJustine Lee氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に4月29日掲載された。Lee氏は、「今回の結果は、特に合併症リスクの高い患者や、手術前に追加のサポートが有益と考えられる患者に対するプレハビリテーションプログラムの有用性を裏付けるものだ」と述べている。運動や栄養、心理的サポートを通じて手術に備えるプログラムであるプレハビリテーションは、比較的新しい医学的概念である。近年、プレハビリテーションプログラムを導入する医療機関は増加しているという。今回の研究では、論文データベースを用いて、手術前の運動や栄養管理をベースにしたプレハビリテーションプログラムに関する研究を検索し、基準を満たした23件のランダム化比較試験(参加者総数2,182人)を対象に、その効果が検討された。主要評価項目は、入院期間(LOS)と術後合併症の発生とされた。23件の試験のうち、18件は運動、5件は栄養管理をベースにしたプレハビリテーションに焦点を当てていた。運動ベースのプログラムは複数の手術領域で評価されていたが、特に整形外科手術で多く用いられていた(44.4%)。一方、栄養管理ベースのプログラムは、消化器外科および心臓手術で実施される傾向が認められた。解析の結果、運動または栄養管理ベースのプレハビリテーションの実施により、標準ケアと比較して、術後合併症は有意に減少し(オッズ比0.52、95%信頼区間0.35~0.78、P<0.002)、LOSは平均0.44日短縮した(平均差−0.44日、95%信頼区間−0.78~−0.11、P=0.01)。介入内容別に検討すると、運動ベースのプレハビリテーションでは合併症リスクの低下が顕著であった(オッズ比0.45、95%信頼区間0.28~0.74、P<0.001)。一方、栄養管理ベースのプレハビリテーションは運動ベースのプレハビリテーションよりもLOSの短縮効果が大きかった(栄養:平均差−1.09日、95%信頼区間−1.72~−0.47、運動:平均差−0.21日、同−0.51~0.09、P=0.01)。運動ベースのプレハビリテーションでは、生活の質(QOL)の指標にも改善が認められた。筆頭著者であるUCLAデヴィッド・ゲフィン医科大学のCatherine Cascavita氏は、「栄養または運動をベースにしたいずれのプレハビリテーションも術後回復を改善し得るが、それぞれ異なる利点を持つ可能性がある。患者ごと、また患者が受ける手術の種類に適したプログラムを明らかにするためには、さらなる研究が必要だ」と述べている。研究グループは、「今後の研究は、プロトコルの標準化や費用・保険適用といった障壁の解消を通じて、プレハビリテーションをより広く普及させることに焦点を当てる必要がある」としている。Lee氏は、「手術前の段階で術後転帰をどのように改善できるかについては、まだ理解が始まったばかりだ」と述べている。(HealthDay News 2026年4月30日) https://www.healthday.com/health-news/exercise-and-fitness/prehabilitation-slashes-post-op-complications-by-half-review-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock