

あるクラスの片頭痛予防薬が緑内障の予防にも役立つかもしれない——そんな研究結果が報告された。CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)標的治療薬を使用していた人は、他の片頭痛予防薬を使用していた人と比較して、緑内障を発症するリスクが25%低いことが示されたという。米ブラウン大学のChien-Hsiang Weng氏らによるこの研究は、「Neurology」に5月6日掲載された。
CGRPは、脳や神経系に存在するポリペプチドで、血管拡張作用を持つことから通常は血圧の調節に関与している。CGRP標的治療薬は、CGRPまたはその受容体を標的とすることで血管拡張や炎症反応を抑制するよう設計されている。
Weng氏はニュースリリースで、「緑内障は失明の主な原因の一つであり、過去の研究では、片頭痛が緑内障リスクの上昇と関連することが示されている。両疾患はいずれも、脳内の血管が刺激に応じて血流を調節する能力に影響を及ぼす。CGRP標的治療薬は、神経系において血管機能や炎症反応を調節する働きがあるため、緑内障リスクがある人の眼の健康にも有益である可能性が期待されている」と説明している。
片頭痛患者ではCGRPが過剰に産生される傾向があり、それが脳内の神経を刺激して、痛みの信号をより強く長引かせると考えられている。一方で、研究グループによると、CGRPは緑内障の発症にも関与している可能性がある。緑内障は、主として眼圧上昇などにより視神経が障害され、最終的に視力低下や失明につながる疾患だ。CGRPは眼の神経や血管に広く分布しており、動物実験では、CGRPの増加によって眼圧が上昇することが示されている。
今回の研究では、2018年から2024年の間に片頭痛予防薬を処方された7万3,644人を対象に、CGRP標的治療薬と緑内障リスクとの関連が検討された。対象者は、処方された片頭痛予防薬の種類に応じて、CGRP標的治療薬群と非CGRP標的治療薬群に分類された。CGRP標的治療薬には、エレヌマブ、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumab、アトゲパント、リメゲパントが含まれた。非CGRP標的治療薬には、バルプロ酸、トピラマート*、flunarizine、カンデサルタン*、リシノプリル*、メトプロロール*、プロプラノロール、ナドロール*、アミトリプチリン*、ベンラファキシン*が含まれた。(* 片頭痛予防薬としては日本国内未承認)。
その結果、非CGRP標的治療薬群と比較して、CGRP標的治療薬群では、最初のCGRP標的治療薬処方から3年以内の緑内障発症リスクが25%低いことが示された(ハザード比0.75、95%信頼区間0.61~0.92)。CGRP標的治療薬群では、非CGRP標的治療薬のトピラマート、バルプロ酸、プロプラノロール、メトプロロール、リシノプリル、アミトリプチリン、ベンラファキシンの各使用者群と比較しても、緑内障リスクの低下が認められた。さらに、CGRP標的治療薬の種類別に解析したところ、非CGRP標的治療薬群と比較して緑内障リスクの低下が認められたのは、モノクローナル抗体製剤型のCGRP標的治療薬(エレヌマブ、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumab)使用者のみだった。
Weng氏は、「今回の結果を確認するためにはさらなる研究が必要だが、この知見は、片頭痛と緑内障の両方について理解を深める助けになる可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2026年5月7日)
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