手術から回復中の患者にとって、散歩は順調な術後回復を促す簡単な方法となるかもしれない。新たな研究で、術後の1日当たりの歩数が術前と比べて1,000歩増加するごとに、入院期間が短縮し、合併症リスクが低下することが示された。このような歩数の増加と転帰改善との関連は、患者の全身状態にかかわりなく、さまざまな種類の手術で認められたという。米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのTimothy Pawlik氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に5月6日報告された。この研究では、入院手術を受けた成人患者のうち、術前および術後30日以上のデータが取得可能な1,965人(平均年齢50.4歳、女性69.5%)を対象に、術後の1日当たりの歩数および心拍変動(HRV)の変化と、入院期間、合併症の発生、および再入院との関連を検討した。さらに、自己申告による健康状態(ウェルネス)についても、感度分析として術後転帰との関連を検討した。歩数とHRVは、患者が所有するウェアラブルデバイスで測定された。その結果、年齢、性別、手術リスクなどの因子を調整後も、術前と比べて術後の歩数が1日当たり1,000歩増えるごとに、合併症リスクは30日以内で17%(調整オッズ比0.83、95%信頼区間0.69~1.00)、90日以内で18%(同0.82、0.70~0.96)低下した。さらに、再入院リスクは30日以内で15%(同0.85、0.76~0.96)、90日以内で16%(同0.84、0.75~0.94)低下し、入院期間は6%短縮した(発生率比0.94、95%信頼区間0.90~0.99)。一方、術後のHRVの変化と自己申告によるウェルネスは、いずれの術後転帰とも有意な関連を認めなかった。こうした結果からPawlik氏は、「本結果には、『鶏が先か、卵が先か』という側面はある。体調が良ければ自然と活動的になるからだ。しかし、歩数と術後回復との関連は非常に強く、歩数は単なる体調の良さの指標ではなく、回復そのものを左右する重要な要素である可能性を示している。患者の歩数低下は、理学療法の導入や経過観察の頻度増加など、早期介入の必要を示すサインとなり得る」と述べている。またPawlik氏は、「われわれ医師は、術後は起き上がって歩く必要があると患者に伝えているが、実際に、患者がどの程度動いているのかについては把握できていない。ウェアラブルデバイスを用いれば、客観的かつ継続的に活動量を把握できる。患者に気分を尋ねる代わりに、実際に起き上がって動いているかを確認できるため、回復状況を把握する上で非常に有用な指標となる」とニュースリリースで述べている。さらにPawlik氏は、患者と医師はこのデータを手術前後の目標設定に役立てられると指摘する。「例えば、手術前は8,000歩、術後3日目には6,000歩を目標に設定すれば、患者自身が目標を達成できているかを確認できる。患者にとって具体的な目標となるだけでなく、医師にとっても、退院可能か、あるいは在宅でさらなる支援が必要かを判断するための客観的なデータとなる」と同氏は述べている。(HealthDay News 2026年5月7日) https://www.healthday.com/health-news/general-health/every-1000-steps-after-surgery-cuts-complication-risk-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock