米国のランニング界で「スーパーシューズ」の普及が進み、ランナーの走りにさらなる反発力をもたらし、レースやイベントでのタイム短縮に貢献している。しかし、この先進的なフットウェア技術(advanced footwear technology;AFT)には負の側面もあるようだ。新たな研究で、一般に「スーパーシューズ」と呼ばれているAFTシューズは、骨ストレス障害に関連する微妙なランニング動作の変化を引き起こすことが明らかになった。米マス・ジェネラル・ブリガムのランニング医学部門ディレクターを務めるAdam Tenforde氏らによるこの研究は、「PM&R」に4月23日掲載された。Tenforde氏は、「今回の研究は、AFTをトレーニングに取り入れる際には慎重に行う必要があることを強調している。また、このフットウェアがもたらすパフォーマンス向上効果を認識しつつ、傷害リスクを軽減する長期的戦略について理解を深めるため、さらなる研究が必要であることも示している」とニュースリリースで述べている。スーパーシューズは、カーボンファイバー製プレートと軽量厚底フォームを採用したシューズで、両者の連動がランニング時の前方推進力を高めるとされている。米メイヨー・クリニックによると、スーパーシューズは当初、一流ランナーが利用していたが、現在では一般のジョギング愛好家や10kmレース参加者にも普及しつつあるという。今回の研究では、23人の一流長距離ランナー(平均年齢25.4±2.7歳、女性11人、男性12人)を対象に、通常のランニングシューズ(以下、通常のシューズ)、軽量高反発フォームを使ったシューズ(以下、軽量高反発シューズ)、AFTシューズの3種類を使用して、普段の練習のペース、テンポ走ペース、5kmレースペースの3条件で走ってもらい、それぞれの速度およびシューズ条件下でのランニング動作を評価した。その結果、AFTシューズは骨ストレス障害に関連するランニング動作の変化をもたらすことが明らかになった。骨ストレス障害は、オーバーユース(使い過ぎ)を原因とする骨の障害であり、骨髄浮腫や疲労骨折につながる可能性がある。例えば、AFTシューズ着用時には、通常のシューズや軽量高反発シューズ着用時と比べて、ケイデンス(1分当たりの歩数)が減少しており、その結果、ストライドが長くなる可能性が示唆された。また、軽量高反発シューズとAFTシューズでは、通常のシューズと比べて後足部外反(かかとが外側へ傾き、結果として足部が内側へ倒れ込むように見える状態)が増加する傾向が認められた。一方で、AFTシューズでは、足関節による蹴り出しの力(足関節の底屈モーメント)が3種類のシューズの中で最も低かった。この点について研究グループは、傷害予防に役立つ可能性があると指摘している。論文の筆頭著者である米Spaulding Rehabilitation HospitalのMichelle Bruneau氏は、「AFTシューズはパフォーマンスを向上させるが、それと同時に、身体への負荷に微妙な変化をもたらす可能性についても考慮すべきだ」とニュースリリースで述べている。研究グループは、本研究は小規模であり、AFTシューズとランニング傷害との直接的な因果関係を示したものではないとしている。それでも、さらなる知見が得られるまでは、トレーニング中にAFTシューズと通常のシューズを定期的に履き替えることで、フットウェアによるオーバーユース障害のリスクを低減できる可能性があると提言している。Bruneau氏は、「シューズをローテーションしながらAFTシューズに徐々に順応していくことが、ランニングパフォーマンスを最適化しつつ、潜在的な傷害リスクを低減する助けになる可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2026年5月8日) https://www.healthday.com/health-news/bone-and-joint/super-shoes-might-increase-risk-of-running-injuries-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Andres Mejia -- Adobe Stock