米CNN創業者テッド・ターナー(Ted Turner)氏の命を奪った進行性の脳疾患であるレビー小体型認知症(LBD)の発症率は10万人年当たり約4.8例と、これまで考えられていたよりも高い可能性が、新たなエビデンスレビューで示唆された。この発症率は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、一部の認知症や非定型パーキンソン症候群(非定型パーキンソニズム)などのより広く知られている神経変性疾患の発症率よりも高いという。バーリ大学(イタリア)のDaniele Urso氏らによるこの研究結果は、「JAMA Neurology」に5月11日掲載された。Urso氏らは、「LBDは、主に高齢になってから発症する認知症であり、他のいくつかの比較的まれな神経変性疾患よりも発症頻度が高い」と結論付けている。米国立衛生研究所(NIH)によると、LBDの発症には、脳内でタンパク質のα-シヌクレインが異常に蓄積することが関与していると考えられている。この異常な蓄積物はレビー小体と呼ばれ、脳内の神経伝達を障害し、思考、運動、行動、気分などにさまざまな症状を引き起こす。LBD自体はよく知られた疾患ではあるものの、研究グループによると、その世界的な発症率や有病率を評価した研究は、これまで実施されていないという。今回のレビューでは、2024年10月までに発表された、一般住民を対象にLBDの発症率や有病率を調査した研究を選定し、12件の研究データを統合してメタアナリシスを実施した。その結果、LBDの発症率は10万人年当たり4.79例であることが明らかになった。研究グループによると、前頭側頭型認知症の発症率は10万人年当たり約2.3例、ALSは約1.6例、非定型パーキンソニズムは0.3〜0.8例程度であるとされている。また、解析対象を65歳以上に限定すると、発症率は10万人年当たり46.85例となり、高齢になるほど発症率が急増することが示唆された。性別ごとに検討すると、男性の方が女性よりも発症率が高かった(5.45例対4.32例)。全年齢での有病率を報告した研究は1件のみで、10万人当たり19.13例であった。こうした結果から研究グループは、LBDが臨床的に診断される症例は少なく、これは診断漏れや診断感度の低さを反映していると考えられると結論付けている。その上で、「標準化された診断方法と専門的な評価への公平なアクセスを確立して、過少診断や誤診を減らす必要性が浮き彫りになった」と述べている。この研究について、米ノースウェル・ヘルス傘下ファインスタイン医学研究所のJeremy Koppel氏は、「この研究は、LBDの発症率や有病率がこれまで考えられていた以上に高く、前頭側頭型認知症よりも一般的である可能性を示している」とコメントしている。同氏はまた、「少なくとも、ターナー氏の死をきっかけに、特に認知機能障害と精神症状が混在する患者を診察する医師の間で、LBDへの認識が高まることを願っている。正確な診断は極めて重要だ」と話している。Koppel氏によると、LBDの特徴的な点は、多くの精神症状を伴うことだという。同氏は、「LBDの中核症状の一つに、実際には存在しないものが見える“幻視”がある。また、意識レベルが劇的に変動することも珍しくない。認知機能障害がまだ目立たない段階では、急性の精神病状態や精神疾患のように見えることもある。しかし最終的には、重度の認知障害へと進行していく」と説明する。さらに、LBD患者は、他の認知症患者によく使われる薬に対して異なる反応を示すことがあるという。Koppel氏は、「LBD患者は、抗精神病薬に対して重篤な副作用を示すことがある。そのため、LBD患者に薬を投与する際には、細心の注意が必要だ」と述べている。(HealthDay News 2026年5月13日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/ted-turners-brain-disease-more-common-than-previously-thought-review-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock